長時間労働=不幸とは限らない!?

長時間労働=不幸とは限らない!?

2014.05.22 THU


昨年11月、オフィスサービス関連で世界規模のプロバイダー、リージャス社が、世界80カ国のビジネスパーソン1万2000人を対象に行った調査結果が公表された。この調査によると、「1日に11時間以上勤務すると回答したビジネスパーソンの割合」で1位(17%)になったのはブラジル。日本はフランス、南アフリカと並び2位(14%)だった。日本人の“働き者ぶり”は相変わらずのようだが、失礼ながら意外だったのは1位のブラジル。成長著しいBRICsの一角でもあり、日本からの企業進出も70年代以来のラッシュを見せているほどの活況ぶりだが、とはいえ、世界一とは!

「労働時間は調査対象や調査方法によって違いが生じやすいため、国際比較は簡単ではないと言われています」とは、労働経済学を専門とする早稲田大学教育学部・黒田祥子准教授。ひとつの統計から結論を導くことは難しく、これだけでは単純にブラジルの勤務時間が長いと結論づけることはできないようだ。とはいえ、各種調査や統計をもとに考えれば、日本人の労働時間が国際的にみて長めであることは、確かと言えそうだ。

「しかし労働時間の長さばかりを問題視するのはナンセンスです」と黒田さん。重要なのは「労働時間の長さ」よりもむしろ「生産性」だという。「近年、ワーク・ライフバランスという概念が広まりましたが、単純に労働時間の長さだけを問題視し、私生活とのバランスを取るために無闇に労働時間を減らそうとすると、生産量やサービスの低下を招くことになりかねません」

労働時間を減らす以上、生産性を上げなければ、従来より生産力は落ちてしまう。そうなれば国全体の経済力が低下し、結果的には僕らのフトコロにもダメージが及ぶ。それではちっともワーク・ライフ“バランス”とは言えないだろう。

「今後の課題は、日本人が培ってきた“勤勉さ・きめ細やかさ”という強みを生かしつつ、いかに生産性を上げて、個々が疲弊しないように労働時間を見直せるか、ということだと思います」

我々ビジネスパーソンは、これまで以上にムダを省き、効率的な時間の使い方をすることが求められるわけだ。国の運営でも労働問題でも、“ムダの仕分け”は今の日本が抱えている重要な課題なのかもしれない。
(麻生雅人)

※この記事は2012年02月に取材・掲載した記事です

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