斎藤哲也の読んでるつもり?

人の悩みに答えはあるのか?

2014.05.16 FRI

BOOKレビュー


『オタクの息子に悩んでます』岡田斗司夫 FREEex/幻冬舎新書/1015円 桜井としき=撮影
■悩みを解決する11個の思考ツール

オタキングこと岡田斗司夫さんの『オタクの息子に悩んでます』は、異色の人生相談本だ。岡田さん自身「本書は『人生相談本』ではありません。『問題に対する考え方』を教える本です」というように、単にQ&Aを収録するだけではなく、回答に至るまでの岡田さんの発想や思考の展開、文章表現上の技巧などを開陳しており、いわば人生相談を題材に問題解決法を指南するような構成になっている。

人生相談に回答する上で、最初にしなければならないのは「分析」。これは「本当は何を相談したいのか」をつかむことだ。たとえば30代女性の「スキがある女でないとモテないんですか」という相談に対して、この女性の本当の悩みは「最近、私はモテない」であって、「スキがあるとかは実はどうでもいいんです」と分析する。

さらに、解決する問題の優先順位をつける「仕分け」や、相談相手と同じ痛みや苦しみを共有して味方になる「共感と立場」、たとえ話で表現する「アナロジー」、考えを整理する「四分類」など、本書では合計11個の思考ツールが解説されている。面白いのは、岡田さんがそれらを発見するまでの試行錯誤や悪戦苦闘の跡まで率直に綴られている点だ。その構成の妙も本書の大きな読みどころだろう。

■日本最強のフェミニストは人生相談も最強

岡田さんの人生相談は、もともと朝日新聞土曜版beの「悩みのるつぼ」に掲載されたものだが、上野千鶴子さんの『身の下相談にお答えします』も同じコーナーから誕生した本。タイトルが示すように、本書にはもっぱら色恋ネタの相談が収録されている。「妻が自分のカラダに触れられるのを嫌がる」、70歳の女性からの「30代の彼と別れられません」など、中高年の性欲や夫婦関係の相談もあるかと思えば、男子中学生の「エッチなことばかり考えて勉強に手が付かない」なんて悩みも。

そんな手強そうな身の下相談も、日本の誇る最強のフェミニストにかかれば一刀両断。相談者だけでなく読者の胸元にも刃を突きつけるような鋭い切れ味が堪能できる。

『哲学の先生と人生の話をしよう』は、若き哲学者・國分功一郎さんによる人生相談。「子持ちの彼女への愛は本物だろうか?」「女性との接し方がわからない」といった相談に対して、プラトンやフロイト、ハイデガーなど、哲学者の知を参照しながら回答しているところが本書の大きな特徴。人生相談を読みながら、哲学や思想まで学べてしまうオイシイ本なのだ。

著者いわく「私にとって哲学は人生論である」。ここまで言い切れる哲学者は滅多にいない

(斎藤哲也)

<書籍紹介>
●『オタクの息子に悩んでます』岡田斗司夫 FREEex/幻冬舎新書/1015円
●『身の下相談にお答えします』上野千鶴子/朝日文庫/713円
●『哲学の先生と人生の話をしよう』國分功一郎/朝日新聞出版/1728円

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