めくるめく専門店の世界 第5回

用途様々!奥深きブラシ専門店

2014.06.02 MON


現在、かなや刷子で扱うブラシとハケは300種類以上に上るとのこと。浅草には職人さんや芸事をたしなむ人が多く、彼らからのリクエストを受けているうちに、だんだんと種類が増えていったのだとか
いきなりですがクイズをひとつ。“デッキ○○○”“歯○○○”“ヘア○○○”“化粧○○○”“ボディ○○○”。この「○○○」にあてはまる言葉ってな〜んだ。正解は…“ブラシ”。普段はあまり意識をしないブラシだけど、専門に扱うお店があるのだとか。

それが、浅草にある「かなや刷子(ぶらし)」。店内の壁には一面に、「ブラシ」と「ハケ」が並んでいる。ん、「ハケ」? 実は、ブラシとハケは日本では兄弟みたいなもので、毛を板に植え込んでいるのがブラシで、板で挟んでいるのがハケなのだとか。

さて、これだけあれば、さぞや珍しいブラシやハケを扱っていそうだ。部長取締役の大内秀雄さんに話を聞いた。

「珍しいといえば、尺八や笛の内面を掃除するブラシですね。長さ50センチの竹に人の髪を手植えしています。あとは、墓の文字を掃除するブラシや足袋を洗濯するブラシ、そば粉を払うハケ、おろし金などから薬味を払うハケなんかもありますね」

なるほど、さすがは専門店、珍しいものが多い。くわえて、工芸品ならではの“こだわり”もあるのだとか。

「ブラシやハケには動物の毛を使っているのですが、用途によって必要な硬さが違うので、使う毛を変えているんです。例えば、洗顔用フェイスブラシにはやわらかいヤギの毛、ヘアブラシは少し硬めのイノシシ、ボディブラシには馬の尾毛、歯ブラシには馬のたてがみを使っています」

動物の毛は化学繊維よりも削れやすく、使っていくとだんだんと先が削れて細くなっていき、肌にも負担をかけないとのこと。また、力のいれ具合で摩耗する箇所も変わるので、使い込むうちに自分に合ったブラシになっていくという。

「なかでも人気があるのは馬のたてがみを使った歯ブラシです。腰があるのにやわらかい。そのしなやかさが、一度使うとやみつきになるといって、遠方からお買い求めにいらっしゃるお客様も多いですよ」

そこまで言われたら、一度使ってみなくちゃ。ということで、ゴシゴシ。

なんだか、普通の歯ブラシとはちょっと違う感触。毛は硬いのだけれども、歯茎に当たっても痛くない。個人的には悪くないな。

ほかにも、革の手入れや洋服の毛玉取り、コートや帽子のホコリ落としなど、ファッション系のハケやブラシもあるのだとか。職人が手作りする逸品には、独自の良さがあるようだ。モノにこだわりを持つ人は、一度のぞいてみてはどうだろうか。
(コージー林田)

※この記事は2012年6月に取材・掲載した記事です

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