めくるめく専門店の世界 第7回

金曜日のみ開店の鹿肉専門店の秘密

2014.06.19 THU


写真はローストエゾシカとレバーパテ。ローストはもも肉を使い、火加減に注意して、中がピンクになるように時間と温度を調整。わさび醤油との相性が抜群だとか。レバーパテはパンに乗せてパクリ
安芸の宮島や奈良の春日大社では、神の使いとして敬われている鹿。訪れたことのある人はわかると思うが、人なつっこく寄ってきて可愛らしいことこのうえない。しかし、一方で、農地を荒らす害獣として、駆除の対象ともなっている。

そんな鹿のなかでも、北海道に生息するエゾシカを駆除した肉を使った鹿料理を食べさせてくれるのが、東京、三軒茶屋にある「エゾシカフェ」なる専門店。しかし、なぜエゾシカ? オーナーの石崎英治氏に聞いてみた。

「もともと、北海道大学で林学を修めていて、森林を育てる活動をしていたんですよ。その流れで、主に北海道に生息していて、森林を荒らすエゾシカの駆除に関わるようになり、駆除した肉の有効活用法としてジビエ料理を扱うレストランなどへの卸しを始めたんです」

卸しを始めたはいいが、ジビエが一般的なヨーロッパなどと違い、日本ではまだ鹿肉は珍しい食材。そこで、様々なメニューを試したり、客の反応を見たりできるアンテナショップのようなレストランを週に一度、金曜日にだけ開くことで、卸先のレストランに情報提供やアドバイスできるようにしたのだとか。それがエゾシカフェなのだ。

「人気があるのは、鹿肉の野性味をダイレクトに味わえるステーキなどの焼き物系です。うちで扱っているのは、日高地方で駆除したエゾシカなんですが、いい草木を食べているらしくて、草のミネラル分が肉に蓄積しているんです。味覚が鋭い人は、薫り高いという表現をしますね」

でも、鹿肉って独特の臭みがあるとか肉が硬いなんて話を聞いたことがあるけど…。ということで、人気のステーキを実際に頂いてみた。すると…、これが悪くない。

いわゆる脂の旨みではなく、赤身の美味しさ。噛み応えがあり、噛むほどに味わいが深くなる。ややレバーっぽい味もするが、血生臭くはなく、いわゆる野趣あふれる味といったところだ。ご飯のおかずというよりは、赤ワインに合いそうな感じ。

「一流の猟師が一発で仕止めれば、すぐに血抜きができるので、臭みはなくなるんです。あとは料理の仕方。じんわりと火を通すと、硬くなりすぎずに肉の旨みが味わえます」

また、最近は衛生基準や処理場が定める自主品質基準の向上などで、以前ほどクセなく食せるようになっているのだとか。

ジビエと聞くとちょっとハードルが高い感じるかもしれないけれど、エゾシカフェなら気軽に鹿肉の美味しさが味わえる。ステーキ以外にも、シチューやピザ、丼物など、日によって様々なメニューがあるので、一度足を運んでみてはどうだろう。
(コージー林田)

※この記事は2012年6月に取材・掲載した記事です

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