意外と知られていない介護休業制度

高き壁か 仕事と介護の両立問題

2014.06.20 FRI


近年、家族を介護するために仕事を辞めたり転職したりしている人が増え続けていると聞く。総務省の「就業構造基本調査」によると、平成9年から平成14年までの5年間に家族の介護・看護のため離・転職した雇用者は45万5100人。しかしこれが平成14年から平成19年までの5年間になると50万2100人と、5万人も増えているのだ。

介護をサポートする介護休業制度が法律で定められているはずだが、やはり今の仕事を続けることは難しいのだろうか。そもそも介護休業って、具体的にどんな制度なのだろう。

「介護休業は対象家族一人につき、要介護状態に至るごとに1回、通算して93日まで取得することができる制度です。これは93日で介護を終えて戻ってきてくださいというわけではなく、その間に介護の方針を決めて職場に戻ってきてくださいということなんです。また介護休業した日数と合わせて、少なくとも93日は利用することのできる勤務時間短縮などの措置を、企業は講じなければなりません。この他、介護休業を終えて戻った後も、要介護状態にある対象家族が一人の場合は年5日、二人以上なら年10日まで一日単位で休みを取ることができます」(厚生労働省職業家庭両立課・森 奈美さん)

なるほど。育児休業とは違って介護はいつ終わるかわからないからこそ、定められた期間内で働き方など今後の方針を決める必要があるということか。ではどれくらいの人が実際に介護休業を利用しているのか。また、介護を始めたことで退職したり転職したりした人の割合はどれくらいなのだろうか。

「介護休業を取得された方は、平成20年度の調査では男女合わせて常用労働者全体の0.06%。男性は0.03%、女性は0.11%です。女性の方が多いのですが、育児休業に比べると男女差は小さいですね。また介護開始時の仕事の継続状況ですが、こちらも男女差はあまりなく、男女合わせると『現在要介護者(40歳以上)がいる者のうち、介護開始当時雇用者であった者』では、16.9%が転職、7.9%が退職しており、男性は13.7%が転職、5.4%が退職、女性は18.0%が転職、8.8%が退職しています」(同)

確かに男女差はないが、トータルでは要介護者がいる人の約25%が介護を機に仕事を移ったり辞めたりしているということになる。現在の介護休業制度に問題はないのだろうか。

「制度の問題というよりも介護そのものの問題点として、なかなか皆さんが介護のことを口にされないことがあります。介護している社員がどれだけいて何を求めているかわからないので、どうしていいかわからず困っているのが現状なのです」(同)

どうやら仕事と介護を両立できない背景は、介護の実態が周囲には把握しにくいゆえに、適切なサポートもしにくいことがあるようだ。まずは介護の現場で起きている問題を広く社会に周知し、必要なサポート体制を構築することが、仕事と介護を両立するための最大のポイントなのかもしれない。(山田井ユウキ)

※この記事は2011年10月に取材・掲載した記事です

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