東芝、ソニーなど大手企業が手がけた案件も…

日本企業のM&A通信簿 ◎は1割

2014.06.05 THU


日本企業と海外企業がM&Aの契約書を締結する現場。大量の書類が机の上にずらりと並ぶ 『週刊東洋経済』毎週月曜発行 現在発売中の特集は「あぶない企業買収」定価690円(税込) 画像提供/西村あさひ法律事務所
普段は10円、20円のコスト削減を口うるさく叫ぶ経営陣が、いとも簡単に数千億円のカネをドブに捨ててしまうこともある悲しい現実。それが企業買収の実情だ。

近年では日本企業が巨額の資金を投じ、海外の企業を買収するケースが増えている。レコフデータの調べによれば、2013年に日本企業が海外企業を買収した数は499件。金額は5兆2429億円にのぼる。14年に入っても、サントリーが米国のスピリッツ大手・ビーム社を1兆6000億円で買収するなど、勢いはとどまりそうもない。

ところが、こうした海外大型案件のうち、誰もが認める成功例は驚くほど少ないのが現実だ。4月には製薬大手の第一三共が、08年に買収したインドのランバクシー社の売却を発表。4000億円を超える損失を出した。そもそもM&Aの世界では、成功・失敗を評価する基準が曖昧だ。そこで、「買収を機にその企業が最高益を更新したか」という観点から、1985年以降の海外企業との大型M&A案件(1000億円以上、金融などを除く全48件)の“通信簿”を作ってみた。

その結果、営業利益を倍以上に伸ばした「よくできました」は、JT、ブリヂストンなどが手掛けた6件のみ。一方で、一度も営業利益ベースで最高益を更新していない「がんばりましょう」は20件もあった。その中には東芝、ソニーなど日本を代表する大企業が手掛けた案件がずらりと並ぶ。

なぜこんなことになるのか。ある専門家は、「投資銀行などから買収案件が持ち込まれると、前のめりになってしまう経営陣は多い。しかし、現実にはそうそううまい話が転がっているわけではない」と指摘する。“いわく付き”かもしれない案件を、本当に自社で成長させられるのか。M&Aに潜むリスクは多い。日本の経営者は買収前にいま一度、自問自答したほうがよさそうだ。
(平松さわみ/『週刊東洋経済』)


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