業績不振で「全額カット」も他人事じゃない!

ボーナス「現物支給」法的にアリ?

2014.12.02 TUE


就業規則に定められてはいないものの、何十年も慣例としてボーナスが支払われていた場合は「当然支払われるべき賃金」として、認められる可能性があるという
冬のボーナスシーズン到来。大手企業からは景気の良い話も聞こえてくるが、未だ業績低迷にあえぐ中小企業ではボーナスの増額など望めそうもない。現状維持や減額ならまだいいが、最悪の場合「全額カット」、あるいは「現物支給」をもって賞与扱いにされるなんてケースも実際にあるようだ。毎年支払われていたボーナスが突然カットされたり、現物支給になったりしたら理不尽な気もするが…。こうした賞与をめぐる会社の対応は、法的に問題ないのだろうか? 労働問題に詳しいアディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士に伺った。

「労働基準法で支給が義務付けられている毎月の給料と異なり、賞与については特に法律で定められていません。賞与の額はもちろん、そもそも支給をする・しないについても各企業の裁量に委ねられています。そのため、ボーナスを支給しなくても法律上は問題ありません。ただ、就業規則などに賞与についての規定があり、たとえば『賞与は7月と12月に賃金1か月分を支給する』などと明示されている場合については別です。使用者には賞与の支払い義務が生じます。また、就業規則などに具体的な金額や算出方法が明示されているにもかかわらず相当の金額が支払われない場合、労働者には不足分を請求する権利が生じます」(岩沙氏)

では、「現物支給」についてはどうか? それがたとえ相応の価値があるものだったとしても、やはりボーナスは現金で頂きたいところだが…。

「まず、そもそも労働基準法には『賃金は通貨で直接労働者にその全額を支払わなければならない』(第24条)という通貨払いの原則があり、賞与の額や支払時期が確定的に定められている場合にもこの原則が適用されます。したがって、原則として賞与の現物支給は認められていません。しかし、賃金を現物で支払うとの労働協約が使用者と労働組合で結ばれている場合には、例外的に現物支給が認められます。よって、このような労働協約がないにもかかわらず会社が一方的に賃金を現物支給に代えることはできません」(同)

なるほど、では就業規則によりボーナスの支給が約束されているにもかかわらず一方的にカット、もしくは現物支給でお茶を濁されそうな場合は抗戦する権利があるというわけか。

また、ボーナス時期に退職を考えている人は、そのタイミングにも要注意。たとえ査定が済んでいたとしても、ボーナスが支給される当日より前に退職した場合は、1円も支給されない可能性があるようだ。

「多くの企業は支給日在籍要件、つまり“賞与の支給日に在籍していること”を支給の要件に定めています。この場合、たとえ賞与の支給対象期間に勤務していたとしてもこの要件を満たしていなければ1円も支給されないことがあります。ただ、本来12月に支給されるべき賞与が会社の都合で遅延し、当初の支給予定日には在籍していたものの、実際の支払日には退職してしまっていた場合などは、会社側には賞与の支払い義務が生じます」(同)

こうしたボーナスをめぐるアレコレはトラブルの火種になりやすく、裁判に発展する例もある。もしボーナスに対して疑問がある場合は、自社の就業規則を今一度確認してみるといいだろう。
(榎並紀行/やじろべえ)

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト