ITの力で実現する生き方

今どき脱サラ事情は「半農半X」

2015.01.21 WED


自らの畑を見つめる舛さん。「フリーで始めたウェブ広告業でしたが、現在は法人化してスタッフもふたり雇い入れています。今後はスタッフにも農業に関わってもらい、会社ぐるみで『半農半IT』を実践していきたいですね」
昔から転職の選択肢のひとつに、思い切ってサラリーマンを卒業する“脱サラ”があります。農業や飲食業を始めるなど、様々な手段がありますが、今ひとつの潮流ができつつあるのが「半農半X(エックス)」という考え方です。

半農半Xとは、自給的な農業を生活に取り入れつつ、やりがいある仕事を両立させるスタイル。島根県では、半農半Xを実践する目的でI・Uターンする人を支援するなど、自治体も動き始めています。

今回は、20~30代を東京でサラリーマンとして過ごし、その後、半農半Xを始めたふたりの男性に話を聞いてみました。

東京でシステムエンジニアの職に就いていた舛洋介さんは、25歳のときに第1子を授かり、それを機に宮城県へとUターン。もともと軽いアトピー体質で自然食や農業に興味のあった舛さん。たまたま出かけた書店で『半農半Xという生き方』を手に取り、その考え方に共感したという。

「最初は石巻で病院の事務職をしながら、畑を借りて自然農を実践し、自分にとってのXとは何かを模索、ITのスキルを活かして副業でアフェリエイトを始めました。2年半ほどそうした生活をした後、自立するめどが立ったので病院を辞め、フリーでウェブ広告業をスタートするに至りました。当初は売り上げを優先していましたが、震災を機に、自分が納得のいく商品を紹介する方針に変えてから、やりがいを見いだせるように。自分にとって『半農半IT』が実現した瞬間でした。農業を生活の中に取り入れてから、精神的な豊かさが生まれたうえ、独立してからは時間的な自由も手に入れることができました」(舛さん)

現在、長野県・安曇野でゲストハウス業を営みながら農業を実践している増田望三郎さんも、34歳までは東京でプログラマーをしていた元サラリーマン。「子育ては土のある環境で」という奥様の希望もあり、半農半Xの生き方を模索。1年をかけて職と家、農地を探して安曇野へIターンしたそう。

「安曇野に来る1年ほど前から『人と人が出会う宿』を構想。実際に、安曇野に来てからはビールメーカーで派遣社員として働き、自宅を開放してゲストを迎え入れていました。農業を行いながら移住3年目に『地球宿』をオープン。その1年後に会社を退職して『半農半宿』を実現しました。農業を行うことで、他者に依存しない食生活を手に入れることができ、それが生きる充実感につながっています。またその喜びが『人を迎えたい』という宿を運営する意欲にもなっていますね」(増田さん)

実はこの概念、もとは90年半ばに提唱されたもの。それが食の安全や自給自足への関心の高まりとともに、改めて注目されている様子。「半農半X」という脱サラスタイル、今後ますます浸透していくことになりそうです。
(岡本のぞみ/verb)

※この記事は2013年1月に取材・掲載した記事です

取材協力・関連リンク

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト