賃金、労働時間、時給…待遇面で比較

「離職率」が高い業界とその実態

2015.02.03 TUE


半数近くが3年以内で離職していることが明らかになった「教育、学習支援業」。長時間の「時間外労働」や、昨今の教育現場に向けられる厳しい視線などもストレスの要因になっているのかもしれない
少し前、厚生労働省が業種別の「新卒者離職率」を初めて公表し、話題となった。同省によれば、入社3年以内で離職する率が高い業種は上から「教育、学習支援業」(48.8%)、「宿泊業、飲食サービス業」(48.5%)、「生活関連サービス業、娯楽業」(45.0%)など。逆に離職率が低いのは「鉱業、採石業、砂利採取業」(6.1%)、「電気・ガス・熱供給・水道業」(7.4%)、「製造業」(15.6%)となっている。

もちろん、業界ごとに事情は異なるため単純比較はできないが、なぜこれほど離職率に差があるのか? 理由を探るため、各業種の待遇面などを比較してみた。

まずは「賃金」について。入社3年以内にあたる20~24歳の業種別年収を「平成23年賃金構造基本統計調査(全国)」をもとに算出してみると、離職率の低い「鉱業、採石業、砂利採取業」は328万円、「電気・ガス・熱供給・水道業」は362万円、「製造業」は309万円。

一方、離職率の高い「教育・学習支援業」は284万円、「宿泊業、飲食サービス業」は242万円、「生活関連サービス業、娯楽業」は251万円。身も蓋もない話だが、年収の高い業界は離職率が低く、年収の低い業界は離職率が高くなっていることがわかる。

では「労働時間」についてはどうか。同じく「平成23年賃金構造基本統計調査(全国)」によると、1カ月の実労働時間(超過労働時間を含む)は離職率の低い「鉱業、採石業、砂利採取業」は173時間、「電気・ガス・熱供給・水道業」は176時間、「製造業」は186時間。

一方、離職率の高い「宿泊業、飲食サービス業」は184時間、「生活関連サービス業、娯楽業」は178時間、「教育・学習支援業」は175時間となっている。1日あたりの労働時間に換算すれば大差ないとはいえ、先の「年収差」も加味して考えれば、「大差ない」こと自体が「業界格差」ともいえる。なぜなら「時給格差」が生じていることになるからだ。

実際、各業種の「時給」を単純計算してみると、離職率の低い「鉱業、採石業、砂利採取業」は1579円、「電気・ガス・熱供給・水道業」は1715円、「製造業」は1386円。

一方、職率の高い「宿泊業、飲食サービス業」は1095円、「生活関連サービス業、娯楽業」は1174円、「教育・学習支援業」は1354円となり、「時給格差」が離職率の差を反映する結果になっている。

さらに「宿泊業、飲食サービス業」「生活関連サービス業」は週休1日制をとる企業の割合も他業種に比べて多く、休みが少ないハードな勤務実態が影響している可能性も。

唯一「教育、学習支援業」だけは数字上、この2業種よりマシにみえるが、実際には休日の部活動引率や授業の準備など、統計には表れない膨大な「時間外労働」が存在するといわれ、やはり労働環境は過酷だ。

また、企業が時間をかけて人材育成にあたる製造業などに比べ、飲食業などは新入社員のうちから現場の第一線に駆り出されることが多く、ストレス負荷も高いといわれる。もちろん仕事にやりがいがあれば、厳しい労働条件にも耐えられるだろう。しかし、転職の際には、こうした職種ごとの環境の違いも考慮することが重要かもしれない。
(榎並紀行)

※この記事は2013年2月に取材・掲載した記事です

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