「チームの力」の時代がやってきた! 

社会を生き抜くための教養本3選

2015.02.27 FRI


『君に友だちはいらない』 瀧本哲史/講談社/1836円 エンジェル投資家として多くの企業に投資している著者だけに、実例も豊富。将来、起業を志す野心家にもオススメしたい。 (桜井としき=撮影、以下同)
これから社会人として働き始めるあなたは、遠からず「コモディティ」という言葉を頻繁に耳にすることになるだろう。

コモディティとは、性能に差のない商品やサービスのことをいう。グローバルな競争が当たり前となった現代では、新しい商品を開発しても、あっという間にコモディティ化してしまう。それは、安い商品が勝つ価格競争の世界に入ってしまうことを意味している。

コモディティ化するのは商品だけではない。ビジネスのサイクルが短くなれば、それだけ人材もコモディティ化しやすくなる。簡単にいえば、取り替えのきく人材になりやすいということだ。

じゃあ、僕らはどのように働けば「人材のコモディティ化」に陥らずにすむだろうか。

瀧本哲史『君に友だちはいらない』は、「武器としてのチーム」を自ら創り出すことだと力説する。つまり個人の力ではなく、チームの力で勝負せよ、ということだ。

同書のいうチームは会社や部署に限らない。いや、むしろ会社や仕事とは関係のないネットワークづくりの必要性を、著者は強調している。「武器としてのチーム」に重要なのは、愚痴を言い合うようななれ合いの友だちごっこではなく、映画『七人の侍』のように、同じ目的意識を持った多様性のある仲間だ、と。

もちろん、社会人になったばかりなのだから、目の前の仕事に打ち込むことが最優先ではある。ただその場合でも、自分のスキルだけではなく「チーム」という視点を持っておいて損はないはずだ。


■空気を読まない組織がビジネスを制す

「チームの力」の重要性を具体的に知りたい人は、現ピクサー社長のエド・キャットムル著『ピクサー流 創造するちから』を読んでみるといい。ピクサーがヒット作品を連発できるのは、1人の天才がいるからではない。社員全員がアイデアや意見、批評を気兼ねなく交換できる場が用意され、それが優れた作品を生み出しているのだ。

「いいアイデアを二流のチームに与えたら台無しにされる。二流のアイデアを優秀なチームに与えたら、それを修正するか、捨ててもっといいものを思いついてくれる」

ピクサー流の空気を読まないチーム力は、日本の組織に最も欠けているものかもしれない。

株式会社KADOKAWA・DWANGOの会長・川上量生『ニコニコ哲学』は、コモディティ化の果てまでを見据えた凄みのある経営論、仕事論を繰り広げている。

「オープンなマーケットで、みんながコンテンツをつくれるようになるほど、コンテンツの実質的な多様性は減る」
「理屈で構成されるものばかりになると人間はいらなくなる」

小気味よい分析の数々は、空気を読まない思考の見本市のようだ。

(斎藤哲也=文)

  • 『ピクサー流 創造するちから』
    エド・キャットムル/ダイヤモンド社/1944円
    本書によって、コンテンツは集団制作の能力が勝負を決することが明らかになった。いわんや商品、サービスにおいてはなおさらだろう。
  • 『ニコニコ哲学 川上量生の胸のうち』
    川上量生/日経BP社/1620円
    スケールの大きい思考にシビれる1冊。巻末「ニコニコ宣言」を読むと、著者は誰よりも「人間」の存続を考えていることがよくわかる。

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