1日1時間からOK!「プチ勤務」で自分らしく働ける!

シニア&主婦「超短時間勤務」拡大

2015.02.27 FRI


女性のなかでも「有配偶者(≒主婦)」の就業率は低く、30代では60%前後、40代でも70%程度にとどまっている。「子育てしながら働きやすい仕事」が増えれば、女性の社会進出促進という面でも効果が期待される。(※画像はイメージです) わたなべ りょう / Imasia(イメージア)
各業界で人手不足が表面化している。一部では「人手不足倒産」なんて声が聞こえてくるほど深刻化しているケースもあるという。実際、有効求人倍率は高止まりし、必要な人材を確保できていない企業は多い。リクルートワークス研究所の調査によると、採用実施企業のうち「採用人数を確保できなかった」企業は32.1%(正社員)に上り、それによって「事業に影響が出ている」との回答も過半数を超す。(2014年7月「人手不足の影響と対策に関する調査」より)

とりわけ大きな影響を受けているのが、サービス業の現場だ。昨年来、スタッフ不足で「一時休業」や閉店に追い込まれる飲食店も出てきている。現場を支えるアルバイト・パート人材の求人難により、新規出店計画の見直しや営業時間の見直しを迫られ、頭を痛めている経営者も多い。

人手不足の背景のひとつは、若年労働力人口の減少だ。総務省の「労働力調査」によると、15-34歳の若年労働力人口は、2000年(2269万人)から10年で約400万人が減少。2020年には1555万人に落ち込むというリクルートワークス研究所の推計もある。わずか20年で約700万人が減り、若年労働力が3分の2になってしまうインパクトは計り知れない。

こうした苦境を打開するカギとして注目されているのが、シニア層と主婦層だ。若年労働力が減る一方、55歳以上のシニア層は2000年からの20年でおよそ230万人が増加。2020年には1819万人と労働力人口全体の3割に拡大する(リクルートワークス研究所の推計)。減りゆく若年労働力人口をカバーするために、この層の取り込みは急務といえる。

だが、フルタイムに近い勤務を前提とした従来の雇用条件では、シニア層と主婦層を取り込むのは難しい。退職後のシニア層(65歳以上)は体力面の不安から、主婦層は家事や子育てによる時間の制約の問題で「働きたくても働けない」というのが実情だった。そこで最近は企業側が業務の細分化を図り、短時間でも働くことができる仕組みを整備しはじめているという。リクルートのジョブズリサーチセンター長・宇佐川邦子氏はこう語る。

「業務内容は変えず勤務時間を短くする“シフトの細分化”に加え、一部業務を切り出して新たな仕事を創出する“業務の細分化”により、『超短時間勤務』を生み出す動きが出てきています。体力や時間がネックになっていたシニア層や主婦層も働きやすくなりますから。実際、求人情報誌『タウンワーク』では、『週の最低勤務日数が1~2日』という求人が1年で5.8万件増え、『1日の最低勤務時間が1~3時間』という求人も2.2万件増加しています。業種別では『コンビニエンス・ディスカウントストア』、『ガソリンスタンド』、『フード(ホールスタッフ)』、『販売(コンビニエンス・レジ・スーパー)』といった分野で『超短時間勤務』の求人ニーズが増えています。いずれも若年アルバイトの求人難の影響を強く受けている業種です。早朝やお昼の時間帯に働く『プチ勤務』を可能にすることで、シニア層や主婦層の人材を確保する狙いです」

たとえば、ディスカウントストア「ドン・キホーテ」では、店舗スタッフの一連の業務を細分化。これまで営業時間内に行っていた「商品陳列」を開店前に行うよう業務を見直し、「早朝2時間勤務」の業務を創出した。従来は営業時間内に行っていた業務を一部早朝にシフトさせる「プチ勤務」を導入することで、シニア層の活躍できる場が広がった。

また、南三陸の海産物をネット販売する「たみこの海パック」では、繁忙期の人手不足解消のために超短時間勤務を導入。子育て中の主婦パートが週1日・1~2時間だけ海藻の袋詰め作業を担当し、膨大な出荷作業を手助けしているという。

「こうした潮流は、シニア層や主婦層からも歓迎されています。実は両者とも潜在的な就業意欲はもともと高い。収入目的のみならず、シニア層は『仕事を通じて友だちや生きがいを得たい』、主婦は『社会との繋がりを得たい』といった理由で働きたい人は多いんです。ところが従来は、希望する時間帯や日数の仕事がないため、『働きたくても働けない』状態でした。最近の『超短時間勤務』求人の増加は、そんなニーズにうまくマッチしているんです」(ジョブズリサーチセンター・宇佐川邦子センター長)

思わぬ“副産物”もあるという。“シニア層や主婦層ならではの能力”を評価する声があがっているのだ。介護サービスを行う「あいケア」では、週1日・1~3時間ほど生活援助・介護業務を担う主婦が活躍しているが、相手の立場に立ったきめ細やかなコミュニケーションが利用者(高齢者)に好評だとか。

一方、働き手からも喜びの声が上がる。「短時間働くだけでも家庭や育児から少し離れ、自分を取り戻すことができる」(31歳・女性)、「利用者から感謝の言葉をいただいたり、自分を必要としてもらっていることが嬉しい」(55歳・女性)、「働くことで生きる実感を持ちながら楽しく過ごせている」(70歳・男性)など、仕事を通じて社会との接点を持つ喜びを感じているようだ。

人手不足を背景に広がりを見せる「超短時間勤務」。少子高齢化が進む労働市場の打開策が、結果的に主婦やシニアの就労意欲を掘り起こし、従来のミスマッチ解消にも一役買っている模様。一挙両得の「プチ勤務」は今後ますます注目を集めそうだ。
(前田智行/やじろべえ)

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