新年会、歓送迎会…「部ランチ」マーケット拡大!

職場の懇親会「昼派」増加の裏事情

2015.03.16 MON


「部ランチ」ではノンアルコールビールなどを飲む人はいるが、お酒を飲む人は少数派だという。乾杯の景色も様変わりするかも?
3月末から4月にかけての歓送迎会シーズン。若手社員のなかには、上司から「1次会は19時スタートで美味い居酒屋、2次会の店も考えておけよ!」なんて幹事役を仰せつかった人もいるだろう。しかし今、こうした旧来のスタイルに“異変”が起きているという。職場の懇親会を「夜」ではなく「昼」に行う企業が増えているのだ。

リクルートのグルメ・クーポン情報サイト「ホットペッパー グルメ」が昨年9月、サイトの利用状況を調査したところ、「昼 忘年会/新年会」「ランチ 忘年会/新年会」といったワードの検索数が前年比149%に増加。昼の時間帯のネット予約件数も前年比230%に伸びたという。さらにこんなデータも…。

「20~40代のフルタイムワーカー2067人にアンケート調査を行ったところ、過去1年間に職場で『昼の懇親会があった』と回答した人が33.7%に上りました。夜の懇親会の85.7%に比べれば少なく見えるかもしれませんが、3人に1人が経験していると考えれば、これは注目すべき“変化の兆し”でしょう」(リクルートホットペッパーグルメリサーチセンター・稲垣昌宏センター長)

昼に行われる懇親会は「レストランでちょっと豪華なランチをともにしながら親睦を深める」といったカジュアルなスタイルが多く、夜の宴会に比べて時間は短め。平均予算は約2600円とリーズナブルだという(ホットペッパーグルメリサーチセンター調べ)。

それにしても、なぜ今“昼宴会”が増えているのか? 背景には2つの“変化”があると稲垣さんは指摘する。

「1つはワークライフバランスを重視する意識の高まりです。先の調査でも、フルタイムワーカーの約86%が“夜の懇親会に不満”を抱えていることがわかりました。不満理由のTOP3は、『翌日に疲れが残る』(51.0%)、『プライベートが削られる』(50.3%)、『お金がかかる』(50.0%)。昼に行えばこうした心配はなくなります」(同)

もちろん「夜にお酒を飲みながらの方が腹を割った話ができる」「わざわざ昼にする必要はない」といった“反対派”の声もあるが、勤務時間外に夜遅くまで長時間“拘束”されることを嫌う人は少なくない。

「もう1つの背景は、働く女性が増えていること。この10年、子育て期にあたる20代後半~30代の女性就業率が大幅に上昇しました。幼い子どもを抱える母親にとって、夜の宴会への参加は難しい。12歳以下の子を持つ女性の6割以上は、過去1年間に夜の懇親会を欠席したことがあるという調査結果も出ています。しかし、彼女たちの中にも“出席できるものなら懇親会に出たい”という人は多い。実際、この層に調査してみると、『昼の懇親会』に『メリットを感じる』との回答が8割を超えます」(同)

子育てしながら働きやすい環境を整えることは、今や企業にとって大命題。2020年までに女性リーダーの割合を30%以上に引き上げようという政府目標もある。働くママの増加に伴い、「職場の懇親会を昼へシフトする『部ランチ』化は、さらに広がりを見せる」と稲垣さんは予想する。

事実、こうした流れを職場単位で先取りする動きも出てきている。
たとえば、女性社員率が40%を占める株式会社マクロミルでは、「ママ社員の多い部署で懇親会を昼の時間帯に実施する動きがみられる」という。また、サントリーホールディングスでもランチ会を実施している部署がある。時短やフレックスタイム勤務など、働く時間が異なる社員でも参加しやすく好評だとか。

ニーズの高まりを受け、昼メニューを強化する店も登場している。銀座の鉄板焼き「栃木屋」では、常連客から「ランチ接待が増えている」という話を聞き、5000円のランチコースを新たに導入。すると、昼に部の達成会や送別会を行いたいという団体予約が入るようになったという。

社会的にダイバーシティの推進を求める声も高まっており、夜の「飲みにケーション」で職場の足並みを揃えるのは難しくなってきている。そんななか、昼の時間を有効に使って親睦をはかる“昼宴会”ニーズの拡大は、必然の成り行きというべきだろう。

「今度の送別会は12時から“ゆったりランチ”に。ノンアルコールビールで乾杯しませんか?」――赤ちょうちん派の上司にも、たまにはそんな提案をしてみると良いかもしれない。
(榎並紀行/やじろべえ)

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