どこまで会社のお金で買っていい?

「経費」って、どこまで認められる

2015.04.12 SUN


よく考えてみると、「これは仕事で使うためのものなんだから、代金を経費として会社に請求してもいいのでは?」と思いあたるものはないだろうか。例えば名刺入れ。この代金を会社に請求している人はほとんどいないだろうが、仕事で使うのだから、経費として認めてほしいところ…。そう考えていくと、どこまで経費として請求できるのか気になってくる。

『「領収書・経費精算」の常識』(PHP文庫)などの著書がある梅田公認会計士事務所の梅田泰宏さんにお話を伺った。

「経費というのは業務に直接関連する費用、また、将来関連するであろう費用について認められるもので、その理由付けさえきちんとできれば、税務処理上は国税局などで否認されることはめったにありません。ですから、個人事業主などは、多種多様な費用を経費として認めてもらっているケースが多いのです。それに対し、会社員の場合は、上司や会社の経理組織の承認を得る方がよほど難しいでしょう。特に今のご時世、どこでも『経費削減』が叫ばれているくらいですから」

例えば、先ほど例にあげた名刺入れ、また、スーツやビジネスカバンなども、たしかに仕事で使うことがほとんどのアイテム。そのため、税法上では経費として認められるだろうが、会社もそれを認め、費用を負担してくれるというケースはまずないという。

では、実際の職場ではどこまでが経費として認められているのだろうか。

25~34歳のビジネスマン363人にアンケートをとったところ、「経費で落とせるものに関して、社内で明確な規定があるか」という質問に対し、「ある」と答えたのは91人、「ない」と答えたのは120人、残る152人は「知らない」と回答。つまり、大半の人はきちんとした線引きを認識しないまま、各々の感覚で経費として落とせるか否かを考え、上司にジャッジを仰いでいるということだ。

次に、今まで経費で落としたものの最高額と最低額を聞いてみると、最低額のほとんどは、100~300円の文具、コーヒー(おそらく1杯分)、交通費といったところ。逆に最高額ではダイナミックな金額も飛び出し、全回答中の最高額はなんと70万円!(用途は研修費)そのほかは、PCやそれにまつわるソフトの購入代、また、社外の人との飲食代というのが多い。社外の人との飲食代は金額の上下幅が大きく、下は2万5000円から、上は15万円にも及ぶ。

さらに「どんなモノ・コトまで経費として認められていますか?」という質問に対しても、社外の人との打ち合わせ時のお茶代、飲み会代、手土産代という回答は多く、社内もしくは自分のための用途では認められにくい。しかし、顧客や取引先がかかわる場合はそのハードルがグンと下がるようだ。

改めて、梅田さんに、企業が考える一般的な経費の定義を伺った。

「まずは、社員間で不公平のない用途であること、そして企業の財産、所有物として残ることですね。研修や教育にかかわる費用が認められるケースは多いものの、それはあくまで企業側が主催するものであったり、緊急な必要性に迫られる場合、例えば『来月から海外赴任なので、早急に英話力の強化が必要』という場合などですね。その場合は、個人が身に付けた英語力が企業の財産として業務にすぐに役立つから良いのですが、漠然と『将来のために』という理由で英会話学校に通っても、身に付けた英語力で会社に貢献する前にその人が辞めてしまえば、会社としての財産にはなりません。ですから、レッスン代が経費として認められる可能性は低いわけです」(梅田さん)

なお、上司の判断を仰ぐにしても判断基準は人によって異なるのが現実。例えば、会社が備品として常備している100円のボールペンではなく、より高級なボールペンを購入した場合。「取引先の前で使用するのだから、見栄えの良い高級ボールペンを使うべき」と認めてくれる上司もいれば、「そんな贅沢は必要ない!」とつっ返す上司もいる。極端な話、会社員の経費精算は、上司の虫のいどころに、左右されうるということかもしれない。
(内藤香苗/クレッシェント)

※この記事は2012年4月に取材・掲載した記事です

取材協力・関連リンク

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト