名だたる企業が採り入れる

『7つの習慣』のメソッドとは?

2015.04.25 SAT


「成長の連続体」と呼ばれる『7つの習慣』のモデル。「依存」から「自立」、そして「相互依存状態」へと成長の段階を表している
1989年にアメリカで出版され、現在までに全世界で累計販売部数3000万部を記録。世界中のビジネスパーソンがバイブルと仰ぐ不朽の名著がある。アメリカの経営コンサルタント、故・スティーブン・R・コヴィー博士の『7つの習慣』だ。

ビジネスにおける成功のみならず、誰もがより幸せな人生を送るための普遍的な原則を「7つの習慣」として体系化した同書。今では当たり前のように使われる「Win-Winの関係をつくる」という思考をはじめ、ビジネスシーンにおける数々のセオリーやスタンダードが紹介されている。

『7つの習慣』を教材にしたビジネスセミナーも活況で、日本ではこれまで20万人以上のビジネスマンが受講。この4月からは筑波大学でも同書をもとにした講義がスタートしている。

「一般的にビジネスセミナーの講座内容は、人格形成をテーマにした『マインド系』と、ビジネスノウハウを教える『スキル系』に分かれますが、『7つの習慣セミナー』は完全に前者に特化しています。それは、7つの習慣が“人間の内面の成熟”を成功の条件に挙げているからです。パソコンだってOSがしっかりしていないとソフトウェアはうまく機能しませんよね。それと同じように、マインドがともなわなければどんなに素晴らしいスキルも活かすことはできないとされているからです。コヴィー博士はこれを『人格主義』と名づけています」

こう語るのは、筑波大学の講義でも教鞭をとる、フランクリン・コヴィー・ジャパンの竹村富士徳氏。『7つの習慣』と聞くと、なんとなくライフハック的なものを想像してしまうが、そうではない。むしろ、そうした小手先のノウハウに頼らず、人としての内面を磨くことで真の成功や永続的な幸福を得られるというのだ。

「たとえばコヴィー博士は『第5の習慣』として、“まず理解に徹し、そして理解される”というコミュニケーション術を説いています。自分を受け入れてもらうためには、まず相手のことを理解しなくてはならない。そのためには、相手の話を真摯に聴くことが重要になるわけですが、これには忍耐が必要です。最初はうまくいかずストレスが溜まるかもしれません。しかしそれを実践することで人格は磨かれていきます。人格が磨かれれば、自然と相手の気持ちに寄り添えるようになり、円滑なコミュニケーションが生まれる、というわけです」

近年、こうした本質的な人格形成を重視する企業は増えている。実際、マインドセットに重きを置く「7つの習慣セミナー」は、日産自動車の新人教育研修に採用されるなど、これまでに多くの社員が受講。受講後、その意識や行動には目に見える変化があったという。

「とはいえ、いきなり良い習慣を身につけようとしても長続きしません。習慣を根付かせるために重要なのは『パラダイム(視点)』を『シフト』すること。たとえば1日30分読書をしようと決めたのに、忙しいからとサボってしまう人がいたとします。そんな時こそ、視点を変えてみましょう。1日30分の時間を使ったとしても、それは1日うちの2%に過ぎません。いくら忙しいといってもたった2%の時間を捻出できないなんてことはめったにありませんよね。結局、『忙しい』というのは体のいい言い訳に過ぎなかったことに気づくはずです。視点を変えれば思いが変わり、思いが変われば行動が変わる。行動が変われば、そこに習慣が生まれる。『パラダイムシフト』はすべての習慣の原点になります」

そうして根付いた良い習慣はやがて、幸福や成功をもたらしてくれるとコヴィー博士は説く。20年以上前に書かれた故人の言葉には、人生を豊かにするヒントが詰まっている。
(榎並紀行/やじろべえ)

※この記事は2014年4月に取材・掲載した記事です

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