東京五輪を経てどうなる? エコノミストが教える!

10年後を予測する「8つの数字」

2015.04.15 WED


東京の湾岸エリアは高層マンションの建設がより進みそう。周辺の交通インフラも整備されるという 写真/Imasia
東京オリンピックが開催される2020年に向け、各種のインフラ整備などが急ピッチで進んでいる。5年後に向けた明るい話は色々と耳にするが、一方で気になるのは「オリンピック後」の動向。“宴のあとの寂しさ”よろしく、オリンピック後は景気が悪化するケースも多いと聞く。“その後の5年”も視野に入れた日本の“10年後”はどうなっていくのか?

しかし、一会社員としては、「10年後の日本(経済)」なんて言われてもピンとこない。そもそも、どんな情報を参考にすれば、長期的なスパンで経済を捉えることができるのだろうか。

そこで、経済予測などを専門にしているエコノミストに、普段どのような数字や統計を参考にしているのか尋ねてみた。答えてくれたのは、2025年度までの日本経済の中期見通しレポートなどを手がける、三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部の小林真一郎主任研究員だ。

「長期予測をするには、経済動向を示す指標を定期的にフォローし、過去から現在に至る“流れ”を把握しておく必要があります。その流れを踏まえて先を見通すのが基本です。押さえておくべき重要な統計はいくつかありますが、主要な指標は、『GDP』、法人企業統計の『経常利益』、労働力調査の『失業率』の3つです」

この3つは、現在の日本の国力を知るためのいわば“基本中の基本”だが、もちろんこれだけで長期予測できるわけではない。

「失業率とあわせて、『一人あたりの賃金』と生鮮食品を除いた『消費者物価』も確認しておくと、物価上昇を考慮した実質的な賃金上昇がわかるので、より消費動向を見極めやすくなります」

さらに重要なのが、国立社会保障・人口問題研究所の「将来推計人口」。人口は国力の根本。今後、人口がどのように推移するかで、日本のGDPや労働環境、消費動向も大きな影響を受けるという。

「これらは、国の大きな方向性や景気を見る統計。あわせて、自分が携わる産業の『鉱工業生産』や『経常利益』などを見ると、業界動向も確認できるでしょう」

なるほど、まずは大きな流れを捉えながら、自分の仕事に関係する小さな数字をフォローしておけばいいのか。

「数字だけで10年後の経済を完全に予測できるわけではありません。消費税の再増税や東京オリンピックなどのイベントも考慮して、10年後を予測します。逆に言えば、リーマンショックや革新的なイノベーションのような不確定要素が発生すると、いくら統計を定期的に見ていても、予測は難しくなります」

では、統計の定点観測をしても、事実上、長期予測は困難ということでしょうか?

「そんなことはありません。毎日仕事をしている中で、景気や業界動向を肌で感じているはずですが、それに加えて定期的に統計をチェックすることで、その肌感覚と世の中の状態がズレていないかを客観的に確認することができます。この作業を続けることで、自分の肌感覚も頼りにしながら、景気や業界の大きな方向性をつかむことができるようになりますよ」

ちなみに、「オリンピック後」を視野に入れた10年後の日本(経済)を予測してもらうと、小林さんのヨミは「曇り」だとか。「今後の景気は、2017年度の消費税10%への税率引き上げによるマイナスをこなしつつ、五輪までは比較的堅調に推移するでしょう。ただし、五輪需要の盛り上がりが剥落するとともに、人口減少の加速、社会保障制度の限界、過大な財政再建負担などの問題が顕在化する懸念から、景気は低成長を強いられるリスクがあります」

ただし、これらも現状の数字をもとにした予測。「もしも、今はまだ影も形もない革新的なイノベーションが起これば、まったく別の産業が生まれる可能性もあります。それによって、日本の成長力が増すことも否定はできません」

2025年には東京-名古屋間でリニア中央新幹線の営業運転開始も予定されている。また、人口が減少するなかでも、ロボット技術などを活用して生産性や技術力を高めると、企業は少ない労働力でもより付加価値の高い製品やサービスの提供ができる。あとは、願わくは、良いほうに予測が外れてほしいところ。「革新的なイノベーション」を生み出せるかどうかだが、こればかりは“自分たち次第”ということですかね…。
(笹林 司)

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