法的拘束力はあるの? 事例とともに解説

オークション「NCNR」法的に有効?

2015.10.20 TUE


ネットオークションを利用する際は、トラブルに備えて、売主とのメールのやりとりや説明文などをすべて記録として残しておくことが大切だ 写真/PIXTA
ネットオークションやフリマアプリを利用していると、よく見かけるのが「ノークレーム・ノーリターン(NCNR)でお願いします」という一文。確かに、この記載があると返品やクレームは言いにくくなりそうだけど…。“抑止的”な効果だけじゃなく、本当に法的な効力もあるの? アディーレ法律事務所の篠田恵里香弁護士にうかがった。

「『ノークレーム・ノーリターン』という記載は、十分効力があります。この一文があったうえで商品が売買された場合、法的には、売主と買主の間で『一切のクレームや返品は受け付けませんがよろしいですね?』『はい』という合意のもと、契約が成立したとみなされます。そのため、原則的には商品に欠陥があったとしても返金を求めることはできないんですよ」

そうなんだ…! ということは、NCNRの商品を買った場合、たとえ劣悪な商品が届いても泣き寝入りするしかないってこと…!?

「ただ、あまりにひどい商品が届いた場合は、詐欺行為または“予想を超える欠陥商品”として、契約の取り消しが認められることもありますね。また、『購入した商品とは違うものが届いた』『数の不足や傷などの欠陥を売主が事前に知りながら、それを告げずに売った』等の場合には、そもそも『ノークレーム・ノーリターン特約』は適用されないため、返金等を請求できます」

明らかな劣悪品は、さすがに返品できるんだ! でも、詐欺とまでは言えない“微妙な欠陥”の場合はどうなるの? 売主が事前に欠陥を知っていたかどうかを証明するのって、かなり難しそう…。

「ケースバイケースではありますが、市場価格よりもかなり安価で購入した場合、法的には『ちょっとした傷や汚れがあったり、修理が必要だったりすることは承知のうえで購入しているはずだ』という前提となるため、返金は難しいかもしれません。特に『ジャンク品につきノークレーム・ノーリターンでお願いします』と記載されているものは、『正常に動かない可能性があることを承知のうえで購入した』と見なされ、売主側に返金の義務が生じないことが多いですね」

ちなみに、NCNR特約に直接触れた判例ではないものの、実際にあった過去の事例では、中古自動車をネットオークションで購入したところ、「右ウインカーの欠落」「運転席のドアがしっかり閉まらない」「センターマフラーがない」などの欠陥があったが、落札価格がかなり安かったため“修理を見込んで購入した”と見なされ、返金の義務が生じなかったケースもあるのだとか。

うーん…、買い手側には「ノークレーム・ノーリターン」と書かれている商品はかなり不利なような…。購入後のトラブルを避けるために事前にしておくべきことってありますか?

「商品の傷や汚れに関する説明書きを事前にしっかりと読んでおくのはもちろん、落札後に売主が書き換えないよう、画面をスクリーンショットなどで残しておくと安心です。また、市場価格よりかなり安いなどの不安要素があるときは、売主に『シミはありませんか?』『正常に作動しますか?』などと確認を取ったり、細部の写真を撮って送ってもらったりするのもひとつの方法です」

顔が見えないだけに、ちょっとしたすれ違いがトラブルにつながるネットオークション。面倒でも、事前に売主と綿密に連絡を取り合って、商品の状態を細かく把握することが“泣き”を見ない唯一の方法かもしれない。
(榛村季溶子/short cut)

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