仕事相手から信頼されるには? 個性派社長のお悩み相談室

コルク佐渡島氏「パートナーからの信頼は、費やした時間に比例」

2016.01.18 MON

個性派社長のお悩み相談室


佐渡島庸平(さどしま・ようへい) 株式会社コルク代表取締役。1979年生まれ、36歳。東京大学文学部英文学科卒。2002年に講談社入社。『モーニング編集部』に配属される。2012年同社を退社、作家のエージェント会社、コルクを設立。著書に『ぼくらの仮説が世界をつくる』(ダイヤモンド社)がある。 (撮影・松倉広治)
若手社員ならではの悩みを個性派経営者にぶつけ、意見を授かる連載。ビジネスの最前線を走るリーダーの金言には、明日への扉を開くヒントがあるかもしれない。

お話を伺うのは、講談社を経て作家のエージェント会社・コルクを立ち上げた佐渡島庸平氏。相談内容は「信頼される仕事術」について。「取引先にイマイチ信頼されていない…」「心を開いていないと言われる」なんていうビジネスマンも多いのでは? 『モーニング』編集部時代に担当した作家と今も強い信頼関係を築く佐渡島氏に、その極意を聞いた。


●「考え方の希少性=才能」? 才能を見つけたら“長く付き合う”

漫画家、小説家のエージェント会社として、名だたるクリエイターとパートナー契約を結ぶコルク。安野モヨコ氏、小山宙哉氏、三田紀房氏など、佐渡島氏が講談社時代に担当した作家も多い。大企業を辞めてなお、こうした面々から信頼を得られるワケとは? その秘訣を伺った。

「誰かの信頼を得ようと思うなら、まずは自分が相手を徹底的に信頼しないと駄目ですね。自分が信頼していないのに信頼されたいっていうのは虫のいい話。信頼といっても相手のスキルや性格などその要素は様々ですが、作家とエージェントの関係性なら、“作家の才能を信頼する”ということが一番でしょう。秘訣というより、根本的な考え方ですね」

佐渡島氏は、自分が信じた才能には惜しみなく自分の時間を投資するという。敏腕編集者は、人のどんな部分を見て「才能」を感じるのだろう?

「ダイヤモンドがなぜ高価か考えてみてください。それは希少性があるから。作家やマンガ家も、頭の中=考え方に希少性がある人に、僕は才能を感じます。喋っていて、『こんな変なこと考えているんだ』という人の描いたものを、読みたくなるんです」

一度「希少性」を感じた相手には、たとえ振り向いてもらえなくても粘り強くつきあうことで、信頼を示し続ける証になるという。

「誰よりもその人のために時間を使い、長く接することが大事だと思っています。ただ、それは友達みたいにべったり仲良くするということではなく、作家の才能を信じ続けて、一緒にいい作品を作り上げるためにとことんつきあうということです。僕は思ったことは正直に言いますので作家と衝突することもありますが、お互い遠慮なく意見を言い合えるのが本当の信頼関係です」


●強いチームをつくるには、すべて「山あり谷あり」と考えること

とはいえ、仕事のパートナーである以上は利害関係があり、相応のメリットを求めてしまうものだ。しかし佐渡島さんは、なかなか芽が出ない作家でも関係を切ることはないという。

「僕の場合、そもそも作家で金儲けをしようとは考えていない。好きな人と面白い仕事をしたいだけ。たとえば、いま僕が育成している新人マンガ家の羽賀翔一君も講談社時代から4年のつきあいになります。まだ世間的には無名ですが、人物の感情を伝える表現に強い“希少性”を感じ、世に広く作品を届けていきたいと思っています。もちろん、長期的に関係性を続けるためにはビジネスを大きくしていくことも重要ですが、僕が仕事をしたいと思うことと儲かる・儲からないはあまり関係ないですね」

また、時にはスランプに陥り長期にわたり作品を生み出せなくなる作家もいるが、その場合でも佐渡島さんのスタンスは変わらない。

「僕のマインドセットが『人間、山あり谷あり』なので。たとえば家族だったら山の時も谷の時も一緒にいますよね。それと同じで、作家がスランプになってドン底に落ちても才能に惚れこんでいるから離れようとは思わない。そりゃ、何十年の作家生活のなかで悩む時期もありますよ。たいていの人は、そこで見切りをつけて離れていくんです。自分を儲けさせてくれる人、役に立つ人間としかつきあわないなんてスタンスでは、誰とも強いパートナー関係は築けません。これは作家とエージェントという関係性に限らず、チームで仕事をする全ての人にいえることだと思います」

(榎並紀行/やじろべえ)

■個性派社長のお悩み相談室 第10回

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