東大・京大による新たな学び「課題設定型教育」

500万円!超一流社会人教育とは

2016.02.12 FRI


東大EMPの講義風景。半年間で約160コマの講義が行われ、「ビジネス・行政などの最前線で活躍している仲間と交流できる」など、人脈づくりのメリットを語る修了生も 写真提供:東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム
近年、MBA取得などを目指す社会人向けビジネススクールが盛況だが、東京大学と京都大学という国内最高学府がそれぞれ開講している「社会人向けプログラム」をご存じだろうか? 東大は2008年、京大は2015年からプログラムを開講しており、超高額ながら参加者はあとを絶たないという。いったいどんな内容なのだろう。

東大が2008年から開講しているのが「東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム」(以下、東大EMP)。取材してみると、社会人向けといっても、従来のビジネススクールやセミナーとは、「だいぶ趣が違う」ことがわかった。

「ビジネススクールが、枠組みを与えられたなかで一番いい答えを導き出す『課題解決型リーダーシップ』を養うとすれば、東大EMPは枠組み自体を創り出す『課題設定型リーダーシップ』を養うプログラムといえます」

そう教えてくれたのは、東大EMP特任准教授の高梨直紘氏。日本は与えられた課題の解決には長けているものの、他国に先んじて課題を設定したことがほとんどない。しかし、超高齢社会、東日本大震災の復興、エネルギー問題など、世界でも類を見ない大きな問題を抱えた今、枠組みが何もないなかで多面的に物事を考え、課題を設定・推進できるリーダーの養成が急務なのだという。

「主に本学教授陣が各分野の最先端の講義を行いますが、先端知識の修得は目的ではなく、あくまでも結果に過ぎません。それらの知を生み出す多様な『思考様式』を蓄積していくことで思考の幅を広げ、未知の問題に対峙しても新しい課題設定ができる力を養うことが目的です。そのため、座学だけでなくディスカッションに多くの時間を割き、講義が進めば進むほど、先生・生徒の関係を超えた丁々発止の議論が生まれます」

講義の内容は人文系から科学・技術分野まで多岐にわたる。また、芸術サロンや星空観望、座禅など学術分野を超えたプログラムが組み込まれているのも特徴だ。受講生の平均年齢は40代。企業や官公庁の幹部候補、中小・ベンチャー企業の経営陣、弁護士といったプロフェッショナルなど、バラエティに富んでいるという。

一方、「京都大学エグゼクティブ・リーダーシップ・プログラム」(京大ELP)は、人文・哲学、理工、医薬・生命など、学問の根幹となる「八思」(8分野)の本質を学ぶことで、次世代のリーダーに求められる“物事を俯瞰する広い視野”や“ぶれない軸”を養うというものだ。

プログラムの目的や多彩な講義内容、ディスカッションの重視など、東大EMPと共通する部分が多いが、京大ならではの取り組みもある。

「本学の立地を活かして、茶道では裏千家大宗匠の千玄室先生、華道では池坊次期家元の池坊専好先生から、その哲学を聞き、ご指導いただく機会を用意しています。ほかにも、陶芸、書道など日本文化を代表する継承者から講義を受けることができますし、京都の老舗料亭で京料理の哲学を学ぶ課外プログラムも行っています」(京大ELPs連携ディレクター・粟野亮二氏)

開講1年目だが、「プログラムや交流を通じて自分自身を活性化し、イノベーションを生み出すきっかけが見つけられた」など修了生の反応も良く、関西圏だけでなく、中部や関東からの参加者も増えているという。

東大EMPは金・土曜日を中心に講義が行われ、半年間で費用は約600万円。京大ELPは主に土曜日に講義が行われ、1年間の通期の場合、費用は約500万円(半年間の半期の場合は約250万円)。どちらも高額ではあるが、学費に加えて渡航費や滞在費もかかる海外留学と比べれば「安い方」といえるかもしれない。受講までのハードルは高そうだが、気になる人はダメ元で上司にサポートの相談をしてみては?
(成田敏史/verb)

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