飲み会で酒を噴き出したことがきっかけ!?

海水アンテナ開発者にきく「型破りなアイデアの通し方」

2016.02.22 MON

会社では学べない!ビジネスマン処世術


秋元晋平(あきもと・しんぺい) 三菱電機株式会社 情報技術総合研究所 アンテナ技術部波動素子グループ博士(工学)。大学時代からアンテナ技術の研究を重ね、現在も日々アンテナに関する新技術の研究・開発に携わる
若手社員ならではの悩みを個性派経営者にぶつけ、意見を授かる連載。今回はその特別版として、今話題の“個性派社員”に仕事の進め方のヒントを聞いてみよう。

お話を伺ったのは、三菱電機の秋元晋平さん。同社は今年1月、海水の水柱で電波を送受信可能な海水アンテナ「シーエアリアル」の技術を発表した。この技術を思いついたのが秋元さんだ。開発の経緯として、テレビで「飲み会で飲みすぎてしまい、口から噴水のようにお酒を出した時にアンテナになるのではないかと」と話していたのが報じられると、ネット上で「面白い」と、一躍話題になった。一体何者…!? ということで、直撃した。

●一人で真面目に考えていても、アイデアは生まれない

秋元さんは、現在入社4年目の若手社員。アンテナ技術部波動素子グループに所属し、「どの商品にはどういう種類のアンテナを使い、どういった形に落とし込むのが最適か」といったことを考えているそうだ。海水アンテナは、入社1年目の時のグループの飲み会で生まれたという。

「私の所属するグループでは毎月1回、研究員が社内の保養施設で、ざっくばらんに新技術を話し合う飲み会があります。アンテナを思いついたのは、飲みすぎてお酒が『ぴゅーっ』と噴き出した様子がクジラの潮吹きみたいだなと思ったのと、それまでずっとアンテナの話をしていたことから、『これだ!』と自分のなかでつながったから。海水は電気が流れるので、アンテナになるのでは? と思ったのです」

さらに、飲み会という気さくな場であったことも大きいと振り返る。

「元々は、自分なりに別の企画を考えていたんです。でも、一人で考えた内容は視野が狭くて広がりがなく、ボツになってばかりでした。海水アンテナも、一人で飲んでいたり、机に向かって重々しく考えたりしているだけだったら、きっとひらめかなかったと思います。飲み会のくだけた雰囲気で、ほかの研究員とアンテナに関する様々な話をしていたからこそ、新しい発想が生まれやすかったのかな、と。まさに、“化学反応”ですね」

●大企業でも、若手がアイデアをかたちにするには?

しかし、アイデアを思いついても、若手社員が上司の理解を得るのはなかなかハードルが高いもの。三菱電機のような大企業であればなおさらだろう。すんなりとアイデアが企画として通るものなのだろうか?

「私の場合は、その場に上司もいたので『海水は電気が流れるので、アンテナにできないでしょうか』と話したところ、『面白いからやってみたら』と言われました。大企業だと若手の意見が通りにくいと思われがちですが、自分の所属するグループは失敗を恐れず新しいことに挑戦しようという雰囲気が強いので、すんなりと受け入れられました。しかし、『面白い』だけだったら、単なる夢物語で了承は得られません。面白さにプラスして、理論上可能だという、具体的な実現に向けた見通しがあるのも大きかったと思います」

さらに、研究発表の場でいかにその技術の特徴を伝えるかも、世に出すには欠かせないポイントだ。

「技術者からすれば、いろんな細かい技術をとにかく伝えたくなってしまうんです。数多くの技術検証を経ていますし、思い入れも強いですから。でも、たくさんの情報を言われても、聞き手は覚えられません。まずは相手に興味を持ってもらえるように話しました。例えば、海水アンテナであれば『海水を噴出した水柱があれば、どこでもアンテナとして設置できる』というようにですね」

アイデアのきっかけがユニークな話だったため面白キャラ(?)のイメージが強くなってしまったが、秋元さんの真面目な言葉も最後に紹介しておきたい。

「今回の技術に限らず、そもそも技術は世のため人のために生かしていくもの。今後もその気持ちを持って、新しい技術を生み出していきたいと思います」

(南澤悠佳/ノオト)

取材協力・関連リンク

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト