経営者の意思決定メソッド 個性派社長のお悩み相談室

サイボウズ青野氏「決断は公も私も捨てて“神の視点”で」

2016.03.14 MON

個性派社長のお悩み相談室


青野慶久(あおの・よしひさ) サイボウズ株式会社代表取締役社長。1971年生まれ。1997年、愛媛県松山市でサイボウズを設立。2005年4月代表取締役に就任(現任)。2010年、一部上場企業のトップとしては異例の2週間の育児休暇を取得。以後、3児の父として3度の育児休暇を取得している。著書に『チームのことだけ、考えた。―サイボウズはどのようにして「100人100通り」の働き方ができる会社になったか』(ダイヤモンド社)などがある
人生は選択と決定の繰り返し。「ランチに何を食べるか」などの些細な選択から、「AとBどちらの会社に転職するか」といった重大な決断まで、仕事には“意思決定の力”が不可欠だ。

とはいえ、それが大事な決断であるほど選択に迷ってしまう。そこで、今回はサイボウズ株式会社代表取締役社長の青野慶久氏に、「意思決定の思考法」を聞いた。


●何かを決断するときは「私」も「公」も捨てて「神」の視点で!

正しく決断するために、まず必要なのは「多様な感覚」だという。

「たとえばAとB、どちらの商品が主婦にウケるか判断しなければならないときには、主婦の気持ちが分からないと話になりません。それって、朝から夜中まで会社にいて長時間働いている男性社員にはなかなか理解できないですよね。たまには早く帰って子どもと一緒にスーパーに行き、主婦の感覚を体験しないと。それはひとつの例ですが、ずっと会社にこもっていると、どんどん世間の感覚とズレた人になってしまうと思います」

会社の外の世界を知り、自分の多様性を磨けば、あらゆる物事において意思決定の精度は上がっていくという。それでも迷うなら、青野氏のこんな思考が参考になるかもしれない。

「重要なことを決めるとき、まず“私”を捨てます。ここでいう“私”とは個人的な好みや利害のことですが、経営者なら当然と思われるかもしれません。私はさらに“公”、つまり企業のトップとしての視点も捨てて“神”になる。そして神だったらどっちを選ぶだろうか、という視点で物事を考えます。たとえば、サイボウズの本社の場所を決めるときもそう。“神の視点”で世界を見渡したとき、『どこにサイボウズのオフィスがあれば最も社会のためになるか』と考えました」

一般の会社員でも、あえてマクロな視点を持つことで意思決定がしやすくなる。また、好みや利害にとらわれず、自分を突き動かす「行動原理」を常に判断基準の軸に置くと迷いが消えるという。

「サイボウズという会社の行動原理は『世界の働き方を変える』こと。だからこそ、新しい働き方を発信するオフィスを、世界中からアクセスしやすい日本橋に構えました。そこに少しでも“私”があると、たとえば僕の家に近いところにしようとか、間違った要素が判断基準に加わってしまいます。また、会社のトップ、つまり公人としての都合だけで考えたら、こんな家賃が馬鹿高い場所にしませんよ。でも、たとえ会社が赤字でも、ここで21世紀の働き方を実践し、世界中の人に見てもらって社会を変えたいと思っている。神だったらきっとここを選ぶだろうと。どうしてもお金がなくなったら出ていくしかありませんけどね」

信念に基づいた選択であれば、たとえ失敗したとしても納得できそうだ。一度下した決断を信じ、ブレずに突き進むためにも必要な心構えといえるだろう。

(榎並紀行/やじろべえ)

■個性派社長のお悩み相談室 第13回

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