『会社の中はジレンマだらけ』中原 淳氏が語る

自分の仕事する暇なし、給料も…マネージャーは損か?

2016.05.13 FRI

会社では学べない!ビジネスマン処世術 > “仕事本”に学ぶ


中原 淳(なかはら・じゅん)1975年、北海道旭川市生まれ。東京大学大学総合教育研究センター准教授。東京大学大学院学際情報学府准教授(兼任)。(画像は近著)
Yahoo! 執行役員の本間浩輔氏と、会社組織内の“モヤモヤ”について語った『会社の中はジレンマだらけ 現場マネジャー「決断」のトレーニング』(光文社新書)が話題の中原 淳氏(東京大学准教授)。「マネジメント」について話をきいた。

●グッドリーダーはグッドオブザーバー(よき観察者)


多くの新任マネージャーが悩むのが、部下に仕事を任せること。“面倒だし、自分でやったほうが早い”と、つい一人で仕事を抱え込みがちになるが…。

「まずマネージャーの定義そのものが、『Getting things done through others』(=他者を使って仕事を為す)。自分でやったほうが早い、ってそりゃそうなんだけど、それじゃマネジメントじゃないですよね」

中原氏は、他人に仕事を任せるコツについて、「まずは観察がすべて」だと語る。

「メンバーの様子を、探偵かフィールドワーカーみたいに見てください。部下っていうのは自分よりできない人なわけですよね。それを観察しないで自分のやり方を押し付けちゃうと『あの人、頭はいいんだけど人が付いていかないよな』っていう状況が生まれがちです」

●信頼を獲得し、仕事を任せるに至るステップとは?


「マネージャーが踏むべき3つのステップがあります。それは観察、信頼獲得、そして仕事を任せるという順番。信頼獲得とは、『この人は上司としてどれだけできるのかな?』という視線に応えること。みんなが困っていることをすぐに解決するような、短期で成果を出すことが一番効果的です。たとえば、『針のいらないホッチキスがあると便利』っていう声があったらポンと新しい文具を買う。『私たちの不満をすぐ解決してくれる人なんだ』ってなりますよ」

漠然と「メンバーからの信頼を得たい」と思っていた人にはヒントになりそうだ。では、肝心の「仕事を任せる」ステップの具体策とは?

「やりがちなのは、上から言われたことをまったく噛み砕かずに『会社はこう言ってるから、いいからやれ!』。それを翻訳して、メンバーの“ハラにオトす”のがマネージャーの仕事です。何か仕事をはじめるとき、メンバーからは大体3つのハテナが出てきますよね。『なんでやるんですか?』『ほかの仕事はどうするんですか?』『なんで私がやるんですか?』。このハテナに対して、『今こんな状況だよね』『この仕事をするとこんないいことがあるよね』と、なるべくポジティブなストーリーをつくって答えてください。で、ここからが大事なんですが、『やっていくうえでこんな困難が予想されるよね』というところまで語って共有するんです」

●自分の仕事をする暇もなし…マネージャーは損なのか?


何かと苦労の多いマネジメント…。部下に嫌われるリスクもありながら、「自分の仕事まで手がまわらない」なんて不満を溜めている人もいるのでは。

「ハッキリ言ってマネジメントなんてわずらわしいんですよ。とはいえ、30歳にもなると人を動かして仕事を成し遂げるっていうことに挑戦したほうが、自分一人で仕事をしたときより、大きな達成感があるはずなんです。『社会にインパクトを与える仕事』とは何かといえば、私は『多くの人とやった仕事』だと思います。

えげつない言い方をするなら、そういう仕事をしていかないと損。たとえば『実務担当者からマネージャーになると、給料が下がるからイヤだ』なんて声を聞くんですが、それは今まで残業してただけでしょ? と。残業代なんて、多くの会社でだんだんカットされる方向になってるんだから、大きい仕事を成し遂げて、それを次の転職に活かしたほうが得じゃない? と思いますよ」

(梵 将大)

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