ベトナムは「営業力」、メキシコは「自動車関連スキル」

「海外転職」求人が多い国・価値の高いスキルとは?

2016.10.13 THU


「日本の飲食店が進出し始めているアフリカは、今後求人が増える可能性もあります。その場合、現地の言葉の習得は必要になるかもしれません」(篠原さん)
写真:IYO / PIXTA(ピクスタ)
グローバル化が進むなか、アメリカやヨーロッパ諸国など主要な外国以外にもビジネスの拠点を置く日系企業が増えている。この時流に乗り、国内で培ってきたスキルを生かして、まだ見ぬ新しい地で仕事をしたいと思っている人もいるのではないだろうか。

とはいえ、現地の企業が求めている人材でなければ、当然就職にはつながらない。日本人にも求人を出している国では、どのようなスキルが求められているのだろうか。海外転職情報サイト「Working Abroad 海外で働く」を運営しているダイジョブ・グローバルリクルーティング代表の篠原裕二さんに聞いた。

●シンガポール、ベトナムの求人が活況。学歴が影響することも?


「現在、求人が多い国は中国、シンガポール、ベトナムなどが挙げられます。日系に加え、現地メーカーの生産拠点も多い中国で求められるのは、工場管理能力や電機系の技術など実践的なスキル。工場勤務の場合は社内での業務がほとんどとなるため、語学力は生活に困らないレベルで十分でしょう」(篠原さん)

逆に、現地の言葉での会話力を求められるのがシンガポールやベトナムだという。ここ数年で日系のメディア関連企業の進出が増え、マーケットを広げる段階にあるため、営業職の求人が多い。現地の広告会社などに売り込むには、営業スキルと語学力が必須といえるだろう。ホテルやレジャーなどのサービス業も多く、現場で働くためには現地語に加え、英語も堪能だと採用されやすい。

ただ、シンガポールは学歴社会のため、卒業大学が在留許可に影響する場合が多い。学歴によって許可が下りない場合は、就業先の報酬額の高さで判断されるため、高額な報酬に見合うスキルが求められる。

●メキシコ“現地で技術指導できる人材を”


ではアジア以外の転職市場はどうだろう? 最近、メキシコで求職活動に乗り出す人向けに現地で人材紹介業を展開するクイック・グローバル・メキシコの西村裕司さんはこう語る。

「ここ数年、メキシコでは日系企業が年間約100社ずつ増加しています。その理由は2019年にトヨタの工場が稼働すること。これにより日系自動車メーカーすべての製造拠点がメキシコに出揃うことになります。そのため、通訳だけでなく自動車関連のありとあらゆる技術者の求人が多く、機械管理や部品メンテナンス、現地の労働者への技術指導ができる人材が求められています。技術者は、通訳を別に雇うこともあるので、スペイン語や英語の能力が必須ではない求人もあります」(西村さん)

また、多くの自動車関連企業がメキシコに移ることで、現地では駐在員向け不動産仲介会社などのサービス業の求人需要も拡大している。こちらは営業職が需要の中心となるため、最低限のスペイン語と英語の能力は必要。なかには、日系企業のなかでも中間管理職クラスがメキシコ人というケースもあるため、語学の習得は必須といえるだろう。

●一緒に働く現地人が日本人に持っている印象とは?


現地の労働者とは、時に指導を行う必要があるほか、同僚としてともに働く可能性もある。すると気になるのは、“日本人だから”と先入観を持たれていることがあるのかどうか。必ずしも期待に応える義務はないが、知っておきたい評価だ。外国で日本人は、“勤勉”“緻密”という印象を持たれているイメージがあるが…。

「(メキシコだと)主に“真面目”“優しい”というイメージを持たれていると感じますね。メキシコ人は日本人に比べると大らか。極端にいえば、納期に間に合わなくても気にしない場合などもあるようです。地域にもよりますが、『日本人が経済を潤してくれている』という認識もあるようなので“お金持ち”という印象も持たれています。結婚相手として目を掛けられることもありますよ」(西村さん)

一方、海外の求人における日系企業ならではの特徴として、篠原さんはこう語る。

「海外の求人のほとんどは日系企業なので、現地の人との接点は少ない場合も多いんです。だから、彼らから持たれる印象を気にする必要はあまりないでしょう。そもそも、なぜ海外の日系企業で日本人が求められるかというと、国内の本部とのやりとりを行える人材が必要だから。外国に進出する企業は現地化を目指しますが、実際はかなり困難。まずは、即戦力となり日本の働き方に順応している人材が必要なのです」(篠原さん)

ただ、篠原さん、西村さんともに「海外で働く=かっこいい」という安易な気持ちだけでは働けないと話す。

「目的を持つことが重要です。現地で働き続けるのか、数年後に日本に帰ってくるのか、外国でどんなスキルを身につけるのか。目的が明確でないと、もし帰国しても海外で働いた経験がまったく生かされず、必要とされる人材にはなれません」(篠原さん)

「海外での生活は、日本とはまったく違います。環境が変わることにストレスを感じない、かつ自分の芯を曲げない人が、海外での労働に向いていると思います」(西村さん)

強い意志を持つことを意識したうえで、自分のスキルと合致する国や企業が見つかったら、海外で働く道を視野に入れてもいいかもしれない。
(有竹亮介/verb)

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