資産運用のプロもギブアップ

国民年金より危ない!?厚生年金制度の自己矛盾

2004.08.05 THU

証券会社の年金を株式の運用によって増やす「日本証券業厚生年金基金」が来年3月に解散する。証券会社って、お金を増やすプロのはずだけど、その専門家がギブアップしたって、少し危ない気がしないか?

ここで、厚生年金について、ちょっとおさらい。会社に勤めている人が入るのが「厚生年金」で、厚生年金の保険料は、社員と会社が半分ずつ払う。金額は収入によって異なり、収入の多い人は支払いも多くなるが、将来、厚生年金を受け取るときにも多く受け取れる仕組みだ。

で、厚生年金基金は本来、企業が社員に対して設ける私的年金制度だ。社員が将来受け取る額をあらかじめ決めておく「確定給付型」で、掛け金は企業と社員が半分ずつ出し合う。さらに、厚生年金基金は、国に代わり厚生年金の運用や社員への給付も行っている。厚生年金の給付を維持するには、掛け金を一定以上の利回りで運用する必要があり、この利回りを予定利率という。景気のいいときは年5・5%以上で運用でき、運用で得た利益を社員の福利厚生などに回していた。しかし近年、株価の低迷に苦しみ、02年度の運用利回りはマイナス12%と大幅に落ち込んだ。社員への支払額は決まっているから、損した分は企業が穴埋めしなければならない。「自分たちではもう無理だから、国でやってよ」と「代行返上」をする基金や、解散に踏み切る基金が相次いでいるわけだ。

厚生年金基金は、日本経済が上り調子だった1967年にできた制度。その後のバブル崩壊や株価の長期低迷なんて、予想できなかった。02年度だけで73基金が解散している。日本証券業厚生年金基金は、野村、大和、日興などの大手が脱退し、10万人いた加入者は5万人を切った。その一方、年金を受け取る人は増え続け、台所は火の車だった。運用のプロでも存続は難しい。もう会社が何から何まで面倒をみてくれる時代は終わった。そのことを強く印象づける出来事ではないだろうか。

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