売っているのは「夢」

“ジュニア”アパレルの開拓者ナルミヤの戦略とは?

2004.09.16 THU

渋谷109‐2。「ジュニアステーション」と呼ばれるこのファッションビルの7階に足を踏み入れると、色とりどりの子供服がきらびやかなフロアいっぱいに陳列されている。名古屋から来たという小学校6年生の女の子は言う。「キャラクターがかわいい。ANGEL BLUE(ブランド名)のハナちゃんが好き」

ここが、ナルミヤ・インターナショナルの主戦場だ。ジュニア、すなわち8歳から15歳の女の子をターゲットに多数のブランドを展開。アパレル業界において最も難しいといわれていた市場を、「高品質・高価格」路線で順調に売り上げを伸ばしてきた。「ナルミヤの勝因は、売り場や雑誌などをフル活用した情報発信力。ターゲットである子供の数自体は減っていますから、一人当たりの単価を上げる戦略を取ったことも成功のポイントでしょう」(矢野経済研究所主任研究員・松井和之氏)。昨年からは、文具、バッグ、靴、化粧品、ホテルなど異業種とのコラボレーションを積極的に展開している。

今もなお、社長自らデザインの細部までチェックするというが、孫ほども年の離れた女の子の嗜好が本当にわかるのだろうか。成宮雄三社長(67歳)は言う。「女性なら、子供からおばあちゃんまで“かわいい”と思う気持ちは不変。芸術品を作るつもりで、手を抜かないことが大切です」「コラボレートしたホテルの部屋も、ドアキーを特製のかわいいものに、練り歯磨きをレインボーカラーにと、とことんこだわりたかったんだけど、予算オーバーしますからって止められちゃった」。昨年度の売上総額は353億円。都内ではやや失速気味だが、地方への出店攻勢で全体の業績は依然として好調だ。今年は韓国と香港に進出、12月にはジャスダックへの上場を控えている。

「夢」を売るアパレルメーカーの躍進は、どこまで続くのだろうか。最後に社長の「夢」を聞いてみた。「学校をつくりたいね。彼女たちが毎日わくわくしながら登校してくるような楽しい学校を」。

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