これでは公正な競争にはならない?

ヤマト運輸が提起する郵政事業の「隠れた国民負担」

2004.10.21 THU

とうとう法廷闘争にまでなりそうな「宅急便」vs「ゆうパック」。ヤマト運輸の主張は、税制などで優遇措置を受けている郵政公社が、民間が切り開いた市場で競争を仕掛けるのは不公平ではないか、というものだ。これは、どういうことなのか。

もともと国営で行われていた郵便局の事業は、独占事業ならではの縛りがあった。民業を圧迫しないための事業の制限だ。ところが郵政民営化の流れの中で公社化されると、その縛りがゆるみ始める。国営ではなく公社なのだから、民間企業の分野に参入してもいいじゃないか、という発想である。しかし、郵政公社は税金を払っていないのだ。固定資産税も払っていなければ、法人税も払っていない。民間企業が税金を払って事業を運営しているのに対し、税金を払わずに民間と同じ土俵で競争しようというのだから、それはムシが良すぎやしないか、というのが、この問題の論点なのだ。

郵政民営化が議論されているが、実はそもそも郵政の民営化を国民はそれほど望んでいないという声がある。なぜなら今で十分、便利だから。局の数は多いし、郵便貯金は国家保障があるから安全だし…。ただ、この便利さが実現されているのは、さまざまな優遇措置があるからなのだ。税制優遇措置もそう。だが、これは入ってくるべき税金が入ってこないということ。実質的に国民が負担しているのである。「隠れた国民負担」が便利にさせているのだ。その額は年間1兆円を超えるともいわれる。

こうした「隠れた国民負担」の上に成り立っている郵政公社が、国民の勤めている民間企業を圧迫する構図というのは、いかがなものなのだろうか。このままいけば、郵政事業である貯金や保険の分野の「縛り」も取れ、銀行や保険会社は大打撃を被るかもしれない。

民営化の形を議論する前に、こういう本質こそきっちりと議論されていなければならないのではないか。ヤマト運輸はそれを提起しているのかもしれない。

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト