タイとの交渉を例に考えてみました

FTA(自由貿易協定)交渉がなかなか進まない理由

2004.11.11 THU

どこの国だって、自国民の利益を最大限に優先させたい。“身内”を大事にするのは当たり前のこと。フツーの国(ごく一部、守るべき産業がない国を除く)は、輸入品の多くに関税を掛ける。自国のモノより安い輸入品へハードルを課し、自国の産業を守っているのだ。その関税をなくしましょう、という約束をするのがFTA(自由貿易協定)。「Free Trade Agreement」の略で、教科書的な解説をすると、2国間または複数国間で締結する貿易協定で、加盟国域内の関税や輸出入制限などを撤廃し、貿易拡大を通じた域内の経済活性化を図るもの、となる。

10月にベトナムで開催されたアジア欧州会議の場で、小泉首相の「ダメなものはダメだ」発言はタイとFTA交渉のなかで出た要求を受けてのこと。タイはコメ、鶏肉、でんぷん、砂糖のうちコメは例外とし、3品目の関税撤廃を求めたのだ。

対する日本が要求しているのは自動車や自動車部品に対する関税の引き下げ(現在、自動車は80%、自動車部品は10~42%)。現在、タイには各国の自動車メーカーや自動車部品の生産拠点があり、日本からの輸入品を少なくすることでタイ国内の自動車産業育成に注力している。

日本が農業を大切にするのは「食料安全保障」が理由。食料を輸入に依存することは、諸外国に急所を握られるようなもの。万が一輸入が途絶えたら、日本はいともたやすく飢えてしまう。鶏肉生産戸数は年々減り続けており、現在では3000戸を切る。また、地方経済に致命的な影響を及ぼすのも事実。でんぷんの国産原料であるジャガイモ(北海道・十勝地方)やサツマイモ(鹿児島・大隈半島、薩摩半島)、砂糖の国産原料であるサトウキビ(沖縄)、これら農産物なしに地元経済は成り立たない。

コメを例外としたのは、タイ側の妥協点だろう。世界最大のコメ輸出国であるタイが対日輸出を諦めたのは、自民党の最大支持層がコメ農家であることを見越して? だとすれば、したたかだ。

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