光や雨で汚れを自然浄化

純国産ナノテクノロジー夢の技術「光触媒」って?

2004.11.25 THU

日本が世界に誇る技術、「光触媒」をご存じだろうか。酸化チタンで表面を加工した物質に光(紫外線)を当てると分解反応が起き、表面に付着した汚れ(有機物)が二酸化炭素と水に分解される。さらに水分が加わると超親水性が生まれ、汚れと表面の間に水が入り込んで汚れを洗い流してくれる。これが光触媒作用だ。

1960年代に日本で発見された太陽エネルギー変換技術が発端となり、各社が競うようにして研究を重ねた結果、今では「防汚」「防曇」「抗菌」「脱臭」「空気や水の浄化」などに応用されるようになった。身近な製品では、汚れにくいタイルや塗装、車ミラーの曇り止め、空気清浄機など。東京・丸の内の「新丸ビル」外壁のほか、05年にオープンする中部国際空港旅客ターミナルの外装ガラスにも使われている。また、環境にやさしいのも特徴で、発生するのは水と二酸化炭素のみ。廃棄物を一切出さないうえに、使うエネルギーも太陽光だけ。枯渇の心配もゼロだ。

同技術の実用化に深く関わった東京大学の橋本和仁教授は言う。「きっかけは、当時勤務していた本郷キャンパス(東大)のトイレ。建物が古かったせいもあり、においがひどく便器は黄ばんでいました。それを見て、光触媒を応用すれば汚れがつきにくくなるんじゃないか、と思ったんです」

94年にはTOTOの協力のもと、実用化第一号の抗菌タイルが完成した。以後、TOTOは光触媒関連の特許を数多く取得し、多くの企業にライセンスを供与。現在は、「特定の病巣にだけ反応する抗体と光触媒微粒子を組み合わせることで病気を治療する技術も研究しています」(TOTO広報部・松原氏)とのこと。

昨年度の市場規模は500億円(国内推計)にものぼる純国産の光触媒技術。効果に対する明確な測定基準がないため、怪しい商品が出回るといった問題もあるようだが、産学官が足並みをそろえて世界をリードし続けられるか、要注目だ。

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