年金に関係あり、そして株価に関係あり

外国人投資家にも有名な日本語「代行返上」って知ってる

2005.03.17 THU

ここ数年、新聞で「代行返上」なる言葉をよく見かける。実はこれ、日本株に投資する海外の投資家の間では、有名な日本語になっていた。代行返上は年金、そして株式市場に関係する重要な日本経済のキーワードなのである。

日本の多くの企業の年金は厚生年金と呼ばれる。支給される年金は大きく2つに分けられ、ひとつは国が支給する基礎的な年金、もうひとつは企業などが運営する厚生年金基金が支給する年金だ(ちなみに自営業は基本的に前者の基礎的な年金のみ)。国が支給する年金は国が運用をするわけだが、実は一部を企業が国に代わって運用した時代があった。これが「代行」である。

この仕組みができた60年代は、人々が普通に5%、7%といった資産運用をしていた時代。対して国が予定した運用利回りは5.5%。もっといい利回りで運用できる、と企業は国の分の一部の運用も担い、基金と合わせてスケールメリットを生かした運用をしたり、予定の利回りを超えて得た利益で保養所を買ったりしていたのだ。

ところが、30年以上経ち環境は激変。バブル崩壊で5.5%は簡単ではなくなった。そうなると、足りない部分は企業が補てんしなければならない。しかも国際会計基準の導入で、積立不足額の財務諸表への開示が義務づけられ、年金問題が会社の足を引っ張りかねなくなってしまったのだ。

そんな折、02年から「代行」が「返上」できる法律が施行。「代行返上」が続出したというわけ。当時約1700あった厚生年金基金の約700が代行返上したという。

が、問題は「代行返上」の仕方にあった。株式などで運用されていた年金だが、返上は現金が原則だった。そこで現金化のために株式が売られに売られたのだ。これが株式相場に悪影響を与えたのはいうまでもない。そして、市場に出た株をせっせと買ったのが、海外の投資家だった。年金問題は「代行返上」を経て株式相場に影響を与え、外国人投資家を潤わせるかもしれない。なんとも不思議な話なのである。

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