急騰は石油だけじゃない

鉄の原料「鉄鉱石」高騰で僕らの日常生活に何が起きる?

2005.03.31 THU

原料の急騰といえば、大きなニュースになった石油が思い浮かぶ。だが、その陰でひそかに急騰、すでに去年から日本の産業にじわじわ影響を与えていたのが「鉄」だ。

鉄鋼最大手の新日鐵は2月、ブラジルの資源大手リオセドと進めていた05年度の鉄鉱石価格交渉が大幅な値上げで決着したと発表したが、その上昇率はなんと71.5%。値上げは3年連続で、上げ幅は04年度の18%をはるかに上回る過去最高となった。

原料である鉄鉱石が値上げとなれば当然、鋼材も値上げせざるを得ない。新日鐵は3月、電機やOA機器メーカーなどに納入する薄板の価格交渉を進めていたが、4月からの大幅値上げで決着した模様。上げ幅は明らかにされていないが、直近で過去最大と見られている。となると、最終製品への価格転嫁は避けられそうもない。すでに昨年初頭から工具など一部製品で値上げが発表されていたが、今後は家電やOAなどにも影響が予想される。そして鉄の最大の需要家である自動車メーカーとの交渉は今、大詰めを迎えているようである。

そもそもここ数年、日本では鉄が逼迫状態にあった。大手製造業ですら必要な量の鉄を確保するのが難しく、担当者は頭を抱えていたという。背景は、中国での需要の急拡大だ。北京五輪、上海万博に向けた建設ラッシュの真っただ中で鉄鋼需要は凄まじい。中国は世界全体のGDPの3%強の存在だが、世界の鉄鋼の25%を消費する計算になるという。一方で中国では、鉄は重要な輸出品目でもある。05年の鉄鋼輸出量は前年同月の14倍増だそうだ。輸出のための鉄鋼も必要だし、五輪や万博に向けた国内需要も拡大中、しかも特に高品質な鉄鋼が足りないということで、日本のメーカーの鉄はひっぱりだこになっている。

素材産業は、あらゆる業界にすそ野が広がる。とりわけ鉄の影響は甚大。今後、さまざまな日用品で値上げの動きがあるかもしれない。この春は、 “鉄”という文字を要チェックだ。       

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