食の安全と日米関係めぐって大混乱

BSE問題で米国が対日制裁発動?

2005.04.07 THU

北朝鮮への経済制裁論が高まっていたと思ったら、今度は米国で対日経済制裁論が噴出している。そう、BSE問題で日本が米国産牛肉の輸入禁止を続けていることに米国の政治家や畜産業界が激怒しているのだ。

どんなふうに怒っているかというと、まず2月下旬に超党派の上院議員20人が「早期輸入再開に応じなければ対日制裁も検討する」との書簡を加藤良三駐米大使に送りつけ、続いて3月初旬に下院議員が輸入再開を受け入れないと米政府に対日制裁の発動を求める決議案を提出。その数日後には、ブッシュ大統領みずから小泉首相との電話協議で早期輸入再開を強く迫り、とどめはあのIQ200の才媛、ライス国務長官の“黒船来襲”である。ライス長官は町村外相や小泉首相との会談で「80年代の米国には日本を標的にした貿易問題があった」と日米貿易摩擦まで持ち出し、牛肉問題の深刻さをことさらに強調してきたという。

この米国の強硬姿勢には、もちろん畜産業界の意向がある。なにしろ03年の米国産牛肉の輸出総額は75億ドル(約7800億円)に上ったが、03年末に最初のBSE感染牛が確認されると、その4割、31億ドル分もの市場を輸入禁止で失ったのだ。なかでも日本市場は15億ドルと最大の得意先で、その日本が1年以上も輸入禁止しているのだから、米国がなりふり構わず圧力をかけてくるのも無理はないのである。

じゃあ米国の要求する通り輸入再開に応じるべきなのか? だがこれは日本人の健康にかかわる問題で、いくら日米関係がウンヌンと言われたって簡単に妥協するわけにはいかない。そもそも米国牛の安全性は「国際基準」を満たしているというが、その基準は最低ラインのものだし、だいたい米国だって最近までBSEの発生したカナダ産牛を輸入禁止にしていたではないか。

米国の圧力に屈せず「食の安全」を守るべき、という声が多いだけに、小泉首相は難しい政治決断を迫られている。

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