今、莫大な医療費が必要になったら…

「生命保険買い取りビジネス」は、日本に根づくのか?

2005.06.02 THU

生命保険といえば、自分が死亡したときに家族に保険金が支払われる仕組み。だがもし、あなたが二十数年保険料を払い続けて、突然医師から余命1年を宣告され、しかも余命をつなぐには莫大な医療費がかかるとしたら、どうだろうか。自分が死ねば保険金として数千万円が入る。しかし、生きていれば莫大な医療費に加え、家族の生活費もかかる。しかも、死亡保険金を受け取るには死ぬまで毎月の保険料を支払わねばならない。現実に、こういったケースはあるらしい。

そこでアメリカで生まれたのが、生命保険の買い取りビジネス。「買い取り会社」が、困っている人から保険を買い取るのだ。困っている人は、全額ではないが、一定の計算式に基づいた保険金を受け取れる。例えば「買い取り会社」は、2000万円の生命保険を1500万円で買い取る。困っていた人は1500万円を手にできる。その人が1年後に死亡したとして、その間に「買い取り会社」が払った保険料が100万円だとすると、死亡保険金2000万円―買い取り費用1500万円―保険料100万円で、400万円が利益になる。末期のエイズ患者を対象に89年に始まったこの仕組みは、今や元気な高齢者による老後資金づくりにも活用されているという。

だが、ありがたい仕組みの一方で、悪徳業者などに悪用されかねないのも事実。アメリカでも賛否両論あり、「買い取り会社」を免許制にして定期的な報告を求める州もあれば、末期の患者からしか買い取りを認めていない州もある。そんななか、04年4月に日本にも「買い取りビジネス」を手がける会社が誕生。その後、すぐに長期の療養で生活に困っていた50歳の男性との売買契約が成立したが、なんと生命保険会社が保険契約の名義変更を拒否。日本の保険業法では、買い取りについての規定はなく、現在、裁判で争われている。万が一のときにはありがたいが、悪用も怖い。まずは急ぎ法整備が必要だ。日本に根づくかどうかは、それから見えてくる。

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