熟練の技をいかに伝えるのか

初代カローラの復元(レストア)と2007年問題の深い関係

2005.06.23 THU

団塊の世代が定年を迎えることで、大量に労働者が減ってしまうという、いわゆる「2007年問題」。うるさい上司がいなくなって、むしろ仕事もはかどるんじゃないの? なんて、気楽に考えている人もいるかもしれない。でも、企業にとってみれば、長年にわたって会社を支えてきた彼らが引退してしまうのは大きな痛手だ。とくに技術やノウハウの伝承は急を要している。

そんななか、自動車部品メーカーのアイシン精機(株)試作工場では面白い試みを行っている。それは、古い車の復元(レストア)作業だ。先月24日には、復元された初代カローラ(1967年型)が公開された。

「昔の車は部品の点数が少なく、構造も現在のものよりも単純です。ですから、レストア活動を通じて、車のメカニズムの基本が学べます。そして同時に昔の技術の高さや物づくりの喜びを感じることができるのです」と同社試作工場長の岩月さんは語る。

アイシン精機は部品メーカーなので、通常は車1台を組み立てるような作業は発生しない。しかも最近はIT化や作業の細分化が進んでいて、手作業で組み立てることは少ない。しかし、復元作業に携わると、車の原点に立ち返ったような斬新なアイデアが生まれるという。その際、リーダーとなり若手を指導するのが、40~50代の作業員たちだ。彼らは復元作業を通じて後輩に、技術やノウハウを伝えていくのだ。

復元作業といっても、ただ組み立てるだけではない。まず適度に壊れた廃車を用意。そして洗浄し、解体する。壊れて使えなくなった部品については、設計図などを頼りに新たな部品を作るという凝りようだ。

「レストア活動を始めて以来、国家技能検定に挑戦する工員が約5倍に増えました」(同上)と、技術の伝承だけではなく、工場内の士気の向上にもつながっているとか。技術の伝承はもちろんだが、物づくりに挑む心を伝えるのが、案外1番難しいのかもしれない。

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