値引き販売で大騒動が起きている

どうしてコンビニは今まで定価販売だった?

2005.10.13 THU

かつてある大手コンビニチェーンの幹部から取材で聞いた言葉はわかりやすいものだった。「百貨店は夢を売る。スーパーは安さを売る。そしてコンビニは便利さを売るんです」。なぜコンビニが定価販売をしてきたのかといえば、安さではなく便利さが、コンビニの最大の「売り」だったからだ。だが、この便利さの追求に、コンビニがどれほど努力してきたかはあまり知られていない。

店内では年間を通して7割以上の商品が入れ替わる。午前中に発注したものが早ければその日の午後には届くという他産業では考えられない物流スピードを持つ。様々な年代の顧客を細やかに分析し、陳列棚や照明は、顧客心理や目の高さまで計算に入れて構築されている。運搬時間をも考慮されて作られた弁当類は、常に改良が図られ、役員会議の弁当も当然コンビニ弁当なのだ。コンビニの裏側には、徹底した便利なシステムの追求と、それを実現させる投資が行われてきた。定価販売にあぐらをかいていた、などという意見もあるが、とんでもない。たとえ定価であっても、ちゃんと売れる店を作ってきたのである。

言うまでもないが、便利さの追求にはコストがかかる。コンビニの生命線ともいえるフランチャイズシステム(独立事業主による経営)も、そこに拍車をかける。しかるべきコストが、ちゃんとかかっていたからこその、定価販売だったのだ。

ところがセブン‐イレブンでとうとうペットボトルの割引販売が始まった。メディアでも様々な意見と憶測が飛び交い、「消費者に近い小売りにこそ価格決定権を持たせるべき。メーカーは仕入れ値を下げよ」というコンビニ幹部のインタビューも出ていた。割引の背景も言い分も様々だろう。だが、今やスーパーやドラッグストアも深夜営業、24時間営業など、便利さにこだわり始めた。コンビニだけの優位性が揺らぎ始めているのだ。いずれにしても、今後は便利なうえに安くもなるらしい。消費者には至極ありがたい話である。

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