世界中で愛された“経営学の父”が死去

ビジネスマンのためのピーター・ドラッカー入門

2005.12.15 THU

去る11月11日、「経営学の父」と呼ばれたアメリカの経営学者、ピーター・ドラッカーが永眠した。ドラッカーの著書のほぼすべてを翻訳しているものつくり大学名誉教授の上田惇生氏は、「親交の深かったソニーの故・盛田昭夫氏をはじめ、松下の中村邦夫氏、ユニクロの柳井正氏、キヤノン電子の酒巻久氏…彼のファンは数え上げたらキリがないよ」と語る。

ウィーン生まれのドラッカーはドイツでの新聞記者時代、ナチスの台頭を予感してヒトラーに直接インタビューした経験をもつ。しかし、自分の論文がナチスの不興をかうと予想しイギリスへ亡命。1937年にはアメリカに移住した。39年、29歳で初の著書『経済人の終わり』を上梓し、ナチスのユダヤ人虐殺と独ソ不可侵条約を予言。その後、分権化や目標管理を提唱した『会社という概念』や『現代の経営』、時の英首相サッチャーに影響を与えた『断絶の時代』、ソ連邦の崩壊を的中させた『新しい現実』など、名著を次々と発表した。

「“予言”といわれたものも、彼にとっては『すでに起こったこと』でした。これらの変化のうち、今後もっとも重大な意味をもつものを考えるのです。ドラッカーの最初の疑問は、『組織中心の産業社会で人間は幸せたりうるか?』。働く者としての人の幸せは、組織がどのように運営されるかによる。だから、彼の本には金儲けの方法ではなく、人と人とが一緒に働くとはどういうことか、人はどう生きるべきかが書かれているのです」(上田氏)

また、ドラッカーは若者の育成を好み、その影響力は確実に世代を超えて引き継がれている。「『ビジョナリー・カンパニー』(編注:サイバーエージェントの藤田晋社長の愛読書としても有名)の著者ジム・コリンズも、自分はドラッカーに育てられたと明言しています」(上田氏)

最後にドラッカーの言葉を引こう。

「知りながら害をなすな」――不祥事を隠蔽する経営者に聞かせたい。

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