グッドデザイン賞で大賞を受賞

痛くない注射針の開発秘話を教えてもらいました

2005.12.22 THU

今年のグッドデザイン大賞に輝いたのは、テルモ株式会社のナノパス33というインスリン用注射針。審査委員に「日本のものづくりに一石を投じた商品」とまで言わしめた優れモノだが、ナノパス33の開発は、まさに不可能への挑戦だったという…。

きっかけは、糖尿病患者の声だった。糖尿病の治療法として知られるインスリン注射。国内で70万人ほどの患者がこの治療を行う。しかし、タダでさえイヤな注射を自分で打たなければならず、その苦痛は想像に難くない。そこで彼らの痛みを少しでも軽くしたいと、開発はスタートしたのだ。ほどなく解決法が見つかった。針を細くすればいいのだ。ただここに落とし穴が。細くしすぎると、薬液を注入するときの抵抗が増して、注射しづらくなってしまうのだ。

そこで、先端は細くして、徐々に太くする構造に変更。これなら、抵抗は変わらない。しかし、今度は理論上は正しくても、生産する技術がなかった。

「従来の製造方法では、製造することが難しく、試作するのに困難を極めました。その結果、100社近い会社を回り協力をお願いしましたが、困難という返事ばかり。そんなとき岡野工業さんに出会いました」(開発技術部 松野さん)

岡野工業といえば、世界中から依頼が舞い込むという金型加工のスペシャリスト。ひょっとしたらここなら…。しかし岡野工業の技術をもってしても、開発は困難を極めた。が、約3年かかり、金型が完成。

「その後も量産加工のための技術開発など、すべての工程で壁にぶつかりました。これまでの量産技術のみでは製造できず、生産ラインを作り替えなければいけなかったんです。ですが、自分たちがやらずに誰がやるといった使命感と、いまの常識に捕らわれずチャレンジし続けることで、なんとか完成させることができました」(同)

グッドデザイン賞では、デザインはもちろんのこと、こうした姿勢が評価されたのである。

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト