市場規模は100兆円とも…

4月から始まる「排出権取引」って、どんな仕組みなの?

2006.01.26 THU

4月から「排出権取引」が始まる。排出権取引とは、CO2などの地球温暖化ガスを排出する権利を国や企業が売買する取引で、京都議定書の計画案のひとつだ。京都議定書の目標値をもとに、国や企業に温暖化ガスの排出枠を割り当てる。すると削減努力で排出枠よりも少ない量しか温暖化ガスを排出しない国・企業がある一方で、技術面などの理由で削減が難しく排出枠よりも多く排出せざるをえない国・企業もある。そこで前者は「排出枠-実際の排出量=まだ排出してもOKな余剰排出量」を排出権として後者に売却。後者は買った排出権の分だけ割り当てよりも多く排出できる、という仕組みだ。

なぜこんな仕組みが必要なのかというと、企業ごとにつくるモノが違うし、国ごとに環境対策技術の進歩が異なる。だから一方的に削減目標を与えられても現実的に対応できない場合がある。そこで排出権を売買できるようにして、排出量を減らせる企業・国はどんどん減らして排出権販売で報酬を得る一方、排出量を減らせない企業・国は環境に優しい企業・国から排出権を買って資金的に貢献する、というわけだ。

排出権取引にはさらに2つの形態がある。先進国が資金や技術を提供して途上国の温暖化ガス排出量を削減、その見返りに排出権を獲得するクリーン開発メカニズム(CDM)と、先進国が共同で削減事業を行い排出権を分け合う共同事業(JI)だ。

米英やEUではすでに取引が始まっており、日本では今年4月から企業間で取引を開始、排出削減目標値を達成した企業には政府から省エネ対策の補助金が出る。

国際的な取引開始は08年だが、新日本製鐵や三菱商事など大手企業がすでにCDM事業に乗り出している。メーカーは技術提供、商社は事業化という分担だ。排出権取引市場は将来、世界で100兆円規模になるとも見られている。日本には最先端の環境対策技術がある。排出権取引は日本企業にとって環境保全と一石二鳥の有望なビジネスチャンスとなりそうだ。

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