イギリスだけ特別扱い?

EU加盟国なのに、どうしてイギリスはポンドのまま?

2006.07.13 THU

ヨーロッパの政治経済の統合を目指し、加盟国間の相互協力を強化することを目的に設立された超国家機構・EU(欧州連合)。長年にわたり分割された国家間で緊張関係が続いてきたのが、ヨーロッパだった。特に2度の世界大戦で多くの国が荒廃、さらには強大化するアメリカへの意識もあり、統合という歴史的な展開が戦後、進んだ。そのEUの最大の目玉が、通貨統合だ。単一通貨ユーロである。1998年、欧州中央銀行が発足し、2002年からはEU12カ国でユーロの一般流通が始まった。国境での検問がなくなったばかりか、両替も不要。まさにヨーロッパは“超国家”になったのだ。

ところが、である。この目玉政策に、ヨーロッパの中心国のひとつが参加していないのである。ポンドを擁するイギリスだ。端的にいえば、イギリス国民の多くがユーロ導入に反対したことがその理由。背景には、長く続いた経済低迷を乗り越え、90年代後半から金融街シティをはじめ経済が好調に推移、「せっかく経済が好調なのに何もわざわざ」という事情もあったようだが、それ以上に大きいのは、やはりポンドへの強い愛着にあったのではないか。

そもそもイギリスはかつて世界の覇権を握っていた国なのだ。17世紀の初頭からアメリカ大陸、アジア、アフリカ、オセアニアに進出、20世紀初めには、世界の地上面積の5分の2にあたる3000万、人口約5億人を支配していた。文字通り世界最強の国だったのである。その通貨ポンドは“大英帝国”の経済力を背景に、国際的な決済通貨、いわゆる基軸通貨だった。ところが第二次大戦後、国際通貨基金(IMF)発足で基軸通貨はアメリカ・ドルに。以後、ポンドは没落する。だが“ポンドは特別な存在”というイギリス人の気持ちは、歴史を見ればわからなくもない。

近年では、ユーロ参加の遅れが産業界・金融界にダメージを与えているという声もある。政府は参加の是非を問う国民投票の開始時期をうかがっている。

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