ノーベル平和賞を受賞したのは…銀行!?

貧困層を対象にした融資制度「マイクロクレジット」って何?

2006.11.16 THU



写真提供/AFP=時事
06年のノーベル平和賞を受賞したのは、バングラデシュの経済学者、ムハマド・ユヌス氏と、彼が総裁を務めるグラミン銀行だった。グラミン銀行は、途上国のみならず、先進国でも様々な形態で運営されているマイクロクレジット機関のひとつである。

マイクロクレジットとは、貧しい人々を対象に、少額の資金を無担保で融資する制度のこと。この制度は、高利貸し以外のまともな事業融資を受ける機会を与えることが目的なので、適切な貸出金利が設定される。ちなみに、グラミン銀行の金利は約20%。日本の大手消費者金融における個人向け無担保ローンの平均貸出金利が約24%だから、この数字は決して低くない。

にもかかわらず、グラミン銀行は延べ390万人以上に融資し、返済率は98%。この成功は、マイクロクレジットをベースに独自の融資制度を作り上げたからだ。グラミン銀行に関する著作をもつ秋田大学助教授の坪井ひろみ氏は、同行が人々に受け入れられた理由をこう語る。

「バングラデシュの商業銀行の金利は約16%ですが、農村部には銀行がありません。しかし、グラミン銀行の行員は週に1度、村を訪れます。村人にとって、これは非常に便利で有益なことなのです」

もともとバングラデシュの農村部の女性は、夫の許可がなければ外出さえ許されず、他人と交流する機会はほとんどなかった。しかし、グラミン銀行は融資を通じて女性が集まれる場を提供。ここでの雑談が情報交換の機会となり、結果的に女性たちがお金について学ぶ場となった。

「グラミン銀行のメンバーの95%は女性です。彼女たちは融資を受け、それを活用し、自分のお金を手に入れました。しかし、マイクロクレジットによって彼女たちが本当に手に入れたのは、家庭内での発言権なのです」(坪井氏)

ノーベル平和賞を受賞した理由には、貧困層の自立支援だけでなく、女性の権利確立の成果もあったのだ。


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