今年の通常国会を通れば残業代がゼロ!?

「ホワイトカラー・エグゼンプション」についておさらい

2007.01.11 THU

昨年、11月22日号の本欄「裁量労働制って何?」でも触れたが、現在、サラリーマンの生活が一変しかねない法改正案がひっそりと進んでいる。厚生労働省は今年の通常国会で、一定要件を満たす会社員について、労働基準法の定める1日8時間、週40時間の労働時間の歯止めを外し、いくら働かせても残業代を一切支払う必要がなくなる、「ホワイトカラー・エグゼンプション」(労働時間規制適用免除制度)の導入を図ろうとしている。適用対象者はすでに適用除外の「管理監督者」一歩手前のイメージ。年収要件は政省令でのちに定められるが、日本経団連はかねてより「年収400万円以上」と主張。仮にそうだとすると、その対象者は約1000万人にものぼる。

昨年1年間、厚労省の審議会で公労使三つ巴で議論されてきたが、使用者(企業)側委員は「自由度の高い働き方にふさわしい制度」としきりにその意義を説く。他方、労働者側委員は「不払い残業の合法化で限りない長時間労働となる結果、過労死、過労自殺が促進される」と猛反発。どちらの言い分に利があるのか。統計データからみると、労働側委員の懸念はもっともな点が多い。労働基準監督署が05年度に是正指導した不払い残業代はざっと233億円。是正された企業数は年々右肩あがりだ。そこには電力、銀行、航空といったビッグネームが名を連ねる。また、残業代以上に問題なのが、適用対象者から「長時間労働をさせないための法律的な担保が奪われてしまうこと」(労働問題に詳しい弁護士)だ。増え続ける過労死、過労自殺の認定も困難になる。そうした事情に詳しい労働基準監督官の6割が、ホワイトカラー・エグゼンプションに反対している。

だが、社会の関心は低い。連合が昨年11月に20代から40代の正社員男女を対象に実施したネットアンケートでは7割以上がこの制度を「まったく知らない」と回答した。財布と健康に直結する話なのだが…。


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