ハイテク産業の生命線に危機

希少な資源“レアメタル”が不足すると日本はどうなる?

2007.07.12 THU

6月、政府は石油やウランなどと並ぶ資源外交の柱の一つとして、「レアメタル」の安定確保に乗り出すことを発表した。

そもそもレアメタルとは、地球上に埋蔵量が少なく、特定の地域に偏在している希少金属のこと。ニッケルやコバルト、チタンなどがその代表で、さらに生産量が極めて少ないインジウムやタンタルなど合計で31鉱種あるこれらの金属になぜ価値があるか? 簡単に言えば、ハイテク製品の製造にレアメタルが欠かせないからだ。パソコンや携帯電話に使う半導体などの電子部品をはじめ、AV機器やエアコンなどの家電製品、自動車や電子基盤の加工に用いる超硬度工具に至るまで、レアメタルがなければ生産できない。つまり、技術はあっても原料が無い=モノを作れない状態になり、日本の生命線であるハイテク産業が機能しなくなるというわけ。

だが現在、世界のレアメタル市場はかつてない状況に陥っている。これまでレアメタルを安価で輸出していた中国をはじめとする資源大国が経済発展を遂げ、レアメタルを自国で保有・消費するようになった。従来は先進国だけで分配されていた市場にBRICsなどの新興諸国が加わり、熾烈なレアメタル争奪戦が繰り広げられているのだ。鉱種によってはこの3年間で取引価格が5~10倍近くまで暴騰しているだけでなく、諸国の外交戦略上のカードとしても重要な役割を占めるようになっている。

「自国に資源を持たない日本は、レアメタル供給を輸入に頼るしかない。その大半を依存してきた中国が国家規模でレアメタルの囲い込みに乗り出した今、新しい供給ルートの確保が急務です。資源開発の手が入っていない途上国との協力体制の確立は必須でしょう」(レアメタル専門商社AMJ代表・中村繁夫氏)

技術立国である日本は、世界の総消費量の25%を占めるレアメタルの一大消費国。その供給が滞ることは、国家的な危機になりうるのだ。


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