三菱重工の小型ジェットが話題ですが

35年以上も国産旅客機が作られなかったワケとは?

2007.07.12 THU

パリ国際航空ショーに、胴体と客室モックアップが出展され話題に上った次世代小型ジェット機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」。三菱重工が2012年頃をメドに商品化を目指し研究開発を進めており、航空ショーでも「ひっきりなしに人が来て、注目度の高さがうかがえました」(広報部談)とメーカー側も手応えを感じた様子だった。

「MRJ」が話題に上る要因のひとつに、72年のYS‐11の販売終了以降、35年以上も国産旅客機を製造していないという事実がある。世界をリードする技術を持つ日本が、なぜ航空機産業では後塵を拝しているのか? ノンフィクション作家で『日本はなぜ旅客機をつくれないのか』などの著書をもつ前間孝則氏に話を聞いた。

「ひと言で言うと、国家的なプロジェクトだったYS‐11が、経営的に成功しなかったから。技術的には評価されていて、中古機は『安くて故障も少ない』と世界中で引っ張りだこだったのですが」

日本は敗戦後の占領政策で7年間も航空機製造を禁止されていたため、世界の航空機メーカーを相手に争うだけの競争力をつけることができなかった。コストダウン努力の不足で原価割れの価格設定となり、また信用力の不足から販売数も伸びず赤字が累積し、最終的には国会で製造中止が決定。その後、日本の航空産業は、自衛隊機の受注や海外メーカーの下請け需要などが増え『あえてリスクの高い民間航空機を作らなくても』といった流れとなっていった。

しかし、MRJはそんな流れを断ちきり、今後の航空機産業のキーになると見られている。前間氏いわく「MRJが成功するかどうかは、日本がこのまま下請けでいくのか、それとも国産旅客機を製造できるようになるかの別れ道と言っても過言ではない」

今はまだ概念段階の設計だが、今後、各エアラインからの評判が良ければ、本格的な設計へと移行するMRJ。小さな機体だけれど日本の航空産業の未来を担う、大きな期待がかかっているのだ。


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