魚食文化・日本の漁業事情

ついに「養殖モノ」は「天然モノ」超え!?日進月歩の養殖ビジネス

2007.10.18 THU



ヒムロイサム=写真
日本の養殖業界は今、様々な研究によって急速に発展しつつある。最近では、“ヤマメにニジマスを生ませる”実験が成功。その概要は、ニジマスの精子のもととなる細胞を、ふ化した直後のヤマメに移植。ニジマスの遺伝子をもったヤマメのオスとメスを交尾させ、ニジマスを生ませるというものだ。さらに、この技術を応用した“サバにマグロを生ませる”研究が目下、進行中。飼育が容易なサバに生ませ、稚魚を増やし育てることで、巨大な親マグロを飼うコストを削減できるといわれている。

また、養殖場を取り巻く環境にも変化が。これまで魚の養殖場といえば、海の中や、海岸近くの室内施設だったが、現在では、内陸地でも養殖が可能だ。例えば高級魚で有名なトラフグは、群馬県の山間地で養殖され、草津温泉を訪れる観光客を楽しませているという。海なし県の特産品が、海産物なんて、不思議な気分になるのでは?

なぜ、そこまでして魚を養殖する必要性があるのだろうか。水産養殖の専門誌『月刊 養殖』編集長の植田直厚さんに聞いてみた。

「海の魚の養殖業は、もともとイワシが大漁だったときに、破棄せずエサにしたことが始まりといわれています。昔は、魚が“いくらでも穫れた”時代でもあった。ところが近年、水産資源の枯渇や、排他的経済水域の漁業規制により、自国の漁獲量は減少の一途を辿っています。天然モノだけで供給をまかなうのは非常に難しい状況。養殖の必要性が高まってきたといえるでしょう」

確かに、近所のスーパーの鮮魚コーナーや回転寿司などで出てくる魚のほとんどは養殖モノ。もはや天然モノだけでは、日本の魚食文化は成り立たない状況なのだ。

「今後は、養殖ウナギでの浜名湖産のような“養殖ブランド”が増えてくると期待しています」(同)

数量増産、安定供給を目的とした養殖から、品質を追求するための養殖へ。養殖ビジネスは、今まさに転換期を迎えている。

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