「医療崩壊」の一風景

小児科医はパンク寸前!?夜間救急外来の“奇妙”な混雑

2007.11.01 THU



写真提供/時事通信社
真夜中の病院に行ったことがおありだろうか。肝試しじゃないですよ。夜間の小児救急外来がここ最近、妙に混雑しているのだ。

東京西部のある大学病院には、一晩に数十人の親子連れが訪れる。「昼間、熱が出ていたようだ。今は落ち着いたが念のため診てほしい」「他の病院で風邪と言われたが、やはり心配になって来た」――。

ほとんどは軽症の子どもたち。言っておくが、救急外来は本来、命に関わる重篤な症状や病状の急変を診るための窓口である。「もうコンビニ化してますよ」。この病院の小児科医は苦笑する。

親を責めるわけにはいかない。共働きでは、「子どもが熱を出した」と保育園から連絡が来ても帰れない。近所に住む親に引き取ってもらい、自分の退社後、ようやく医者に行ける。核家族化も進んだ。昔なら家庭に年長者がいて、適切な判断をしてくれた。「大丈夫。親御さんも安心して」の一言欲しさに、暗いなか、出かけていくのだ。

しかし、病院の当直医にはたまらない。朝から外来、昼ご飯も食べられず午後も外来。そのまま当直へ突入。回診だってある。患者はぽつぽつ現れるから、ウトウトしたころにたたき起こされ、結局一睡もできずに夜が明ける。翌日はまた朝から外来だ。

医師のバーンアウト(燃え尽き症候群)が起きても、これでは仕方ない。なかには、明け方やってきて「今日からハワイ旅行なので予防注射を打ってくれ」とか、「学校に提出する水ぼうそう証明書を書いてくれ」という親子までいる。こうなると、教育界で今、話題のモンスター・ペアレンツならぬ、モンスター・ペイシェント(理不尽な要求を突きつける患者)だ。

夜間はベストな診療体制ではない。十分な検査もできないし、院外薬局が閉まっているから薬だって1日分しか出ない。「安心の太鼓判」を与えるのなら、病院でなくてもいいはずだ。あなたもいずれは子を持つ身。決して別世界の出来事ではない。


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