日銀総裁選びのキーワード

「財政と金融の分離」の原則ってどういうこと?

2008.04.03 THU



写真提供/Getty Images /AFLO
日本銀行総裁人事をめぐる政府の迷走が続いている。先月19日の福井俊彦前総裁の任期切れをまえに、政府は次の総裁候補を国会に2度提示したのだが、いずれも財務省や旧大蔵省の元事務次官だったために野党が反対して参議院で不同意に。とうとう戦後初めて日銀総裁が空席となってしまったのである。

しかし、なんで日銀総裁が財務省OBではだめなのか。その理由として野党が挙げているのが「財政と金融の分離の原則」というキーワード。財務省は政府の財政当局で、一方、日銀は景気や市場の動向を分析し、金利の金融的操作で物価の安定をはかるのがおもな仕事。その日銀総裁に財務省のトップだった人が就任すると、政府の意向をくみすぎて「日銀の独立性」が損なわれるかもしれない、と心配しているのだ。

たとえば日銀が政府の言いなりだったらどうなるか。かりに、お金が足りないからと政府が日銀にお札をたくさん発行しろと命じたとする。そんなことをしたら超インフレになって生活が苦しくなるし、またインフレの予防のために日銀が金利を上げる必要に迫られたとしても、金利上昇で財政負担が増えることを嫌う財務省が金利をもっと低くしろと命じて、やっぱりインフレになるかもしれない。実際、戦後政治で政府が日銀の金融政策に圧力をかけてきた例はたくさんある。そのため日銀法を改正して財務省の監督権をなくし、日銀の独立性を確保したはずなのに、財務省の元事務次官が総裁になるのはおかしいというわけだ。

もっとも、福田さんは「財政と金融がしっかり連携してこそ適切な経済運営ができる」が持論で、日銀法も政府と日銀の協調による経済政策をうたっていたりする。いったいどっちなんだという感じだが、ただ日銀総裁は日銀生え抜きと財務省出身者による「たすきがけ人事」が慣例化し、財務省の天下りポストとなっていたのも事実。中央銀行トップに問われるのは出身ではなく手腕とはいえ、財務省の既得権化は考えたほうがいいのかもしれない。


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