市場シェア50%超(!)のナゾの町

岐阜県郡上市のヒミツを探りつつ食品模型を作ってもらった!

2008.04.24 THU



撮影/大久保 聡
岐阜県郡上市。人口5万人にも満たない、静かな山あいの町である。しかし、実はここ「食品サンプル」の一大産地なのだ。同市の岩崎模型製造は創業76年。全国に散らばるグループ会社を含めると、年間300億円ともいわれる食品サンプル市場でシェア50%超を誇る。18歳まで隣町に住んでいた僕でさえ知りませんでしたよ。

そもそも食品サンプルは日本独自の文化だ。『眼で食べる日本人』(野瀬泰申・旭屋出版)によれば、初めてこれを置いたのは関東大震災後に復旧した白木屋デパートの食堂。以降、広く普及した理由を著者は「日本人がメニューを読まない民族だから」と分析する。一方、昭和初期に食品サンプル生産の事業化に成功したのが岩崎瀧三という人物。彼はのちに郷里の郡上八幡(現・郡上市)に部品工場を創設、これが同地が一大産地になった経緯である。

ほほうと唸りつつ、図々しくも岩崎模型製造さんに「オリジナルで食品サンプルを作ってもらえませんか?」と依頼。『R25』のBAR25ママ、和歌ネエ渾身のレシピ「ミックスステーキ」の写真を同社に送った。

完成を待つ間に訪れたのが岩崎グループの一社、イワサキ・ビーアイの工場(横浜市)。ここでは約50人の職人が年間14万個の食品サンプルを作っている。

「昔はロウで作っていましたが、今はシリコン樹脂がメインですね。食品以外にも博物館、化粧品メーカーなどからの発注もあります」(工場長・一柳光浩さん)

工場内を見せてもらうと、意外にも若い職人さんが多い。さながら、学園祭の準備風景である。また、成型するためのオーブン加熱以外はすべて手作業なのにも驚いた。

「食品サンプル作りには実際の食材や料理の知識も必要。マニュアルはないので試行錯誤を重ね技術を磨きます」(一柳さん)

飲食店のショーケースは職人魂が込められた作品が並ぶ美術館といえるかもしれない。ミックスステーキの完成度に感嘆しつつ、そんなことを考えたのでした。


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