独禁法改正で不当廉売規制の強化

モノを安く売ることがどうして規制の対象になるの?

2008.06.19 THU



図版制作/辻章良
先の国会では、国家公務員制度改革基本法案などの可決の陰に隠れてしまったが、じつはわれわれ消費者にとって気になる法案も提出されていたことを知っていただろうか。それは独占禁止法の改正案。独占禁止法といえば、談合などを取り締まって、商品などの値段が不当に高くなるのを防ぐ法律という印象が強いが、今回の改正案では、不当廉売(ダンピング)に対して課徴金制度を課し、罰則を強化するという。

簡単に言えば「不当廉売」とは、当面の利益は無視しても原価を下回る安値で商品を販売し、ライバルの事業を妨害することを指す。だが消費者にとっては商品が安くなることは単純に歓迎したいところ。そもそも企業間の競争によって価格が安くなることが、どうしていけないこととされてしまうのだろう。エコノミックコンサルティング企業NERAの石垣浩晶さん(元公正取引委員会の企業結合課勤務)は次のように語る。

「たとえばAという企業が商品の値段を原価割れで安く販売する。その結果、他の競合企業が全部倒産してしまい、市場を独占したA社が価格を吊り上げ暴利をむさぼる―そんなケースを未然に防ぐために不当廉売は取り締まりの対象となっています」

では、今回、特に不当廉売の規制強化の法案が持ち上がった理由は?

「近年、値下げ競争に苦しむガソリン業界などからの要望を受け、独禁法改正の話が持ち上がっているのでしょう。ただ、企業努力で商品を値下げすれば、努力をしていない企業の商品が市場から排除されるのは、当然のこと。不当廉売の取り締まりは、注意深くやらないと、逆に消費者の利益を阻害する危険性もあるのです」

今回の独禁法改正案は、期間内での成立が困難だとして次の国会に見送られることとなったが、近い将来、再び国会に提出され、可決される公算が強い。不当に高すぎるのは嫌だし、安すぎるのも問題。モノの値段って難しい。


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