ネット上の著作権問題に大きな一石?

角川グループが「MAD動画」認証へその真の狙いとは?

2008.06.27 FRI


キャンペーンの主旨は、ユーザーが作成した様々なジャンルの面白いムービーを動画投稿サイト「YouTube」上で募集し、期間中に一定のアクセスがあった作品にはプレゼントを贈るというもの。アニメなどを素材とした「MAD動画」だけでなく、グルメやペット自慢などといった一般のオリジナル動画も幅広く募集され、広告とのマッチングを検証するデータとなる
角川グループが主催している「夏の動画投稿キャンペーン」が、今ネット上でひそかに注目を集めている。一見よくある告知キャンペーンに見えるが、実はこれ、動画投稿サイトの「著作権侵害問題」に一石を投じる試みだという。

その象徴ともいえるのが、同キャンペーンで人気アニメの映像をユーザーが再編集した(つまり、元作品の著作権を侵害している)「MAD動画」の投稿も受けつける点だ。『涼宮ハルヒの憂鬱』などの大ヒット作を抱える角川グループだけに、ネット上への影響力は大きそうだが。その真意を、角川デジックスの代表取締役社長・福田正氏に聞いてみた。

「ひとつは、これをきっかけにネット上にある当社作品(アニメなど)の違法動画を整理したいんです。MADの存在は我々権利者にとって悩みの種ですが、なかには原作への愛にあふれている作品があることも理解しています。YouTubeのフィルターを厳密に使えば、当社関連の違法動画を一切アップできないように取り締まることもできますが、それはネットから生まれる新しい才能や技術を潰すことにもなる。できればしたくない、という思いがあります」

具体的にはどんな対応を?

「対象となる投稿作品をすべて直接審査し、違法な動画は削除しつつ、優れた作品については我々が認証する形でYouTube上に残すという作業を行います。何がダメで何はOKという線引きをハッキリ決めるわけではなく、まずは実際にその作業を行ってみて、違法と合法をどう区別するか、そのガイドラインを作っていこうという試みです」

そこにビジネス的なメリットはあるんでしょうか?

「著作権問題をクリアする審査のしくみができれば、MADを含む動画コンテンツを活かした広告モデルを作れるかもしれません。が、現状では審査に膨大なコストが掛かかることがネックです。今回はキャンペーンという形で費用を処理しましたが、実際に運用してみてやはりビジネスとして成立しないとなれば、残念ながらMADを含む動画コンテンツすべてを大きく規制しなければならないかもしれません。その判断も含めて、今回の試みは薬の臨床実験のようなものなんです」

どんな結果になるかはわからないが、誰かが行動しなければ新しい技術や発想は生まれない。福田氏は、キャンペーンの狙いをそう語った。はたしてここから、ネットの新ルールが生み出されるのだろうか?

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