日本の景気は悪そうなのに?

「経常黒字」が過去最高のワケは?

2008.06.26 THU



写真提供/時事通信
景気の減速を伝えるニュースが増える中、なんだか明るそうなニュース。財務省によると、2007年度の国際収支における「経常収支」の黒字額は、前年度比16.1%増の24兆5500億円と5年連続で過去最高になった様子。でもこれ、調べてみると意外な事実が。

経常黒字とは、海外とのモノやサービスなどの取引で、代金の支払いよりも受け取りのほうが多い状態。よく耳にする貿易黒字という言葉はそのひとつだが、経常収支には4つの部門がある。輸出入の集計による「貿易収支」、海外旅行などが影響する「サービス収支」、そして投資収益ともいえる「所得収支」、さらには開発途上国への経済援助や国際機関への拠出金などが該当する「経常移転収支」。このトータルが、今や過去最高のプラスになっているということだ。

では4つの部門で何がこの黒字を後押ししたのか。真っ先に頭に浮かぶのは、貿易収支だろう。日本は貿易立国であり、輸出産業の動向は景気も大きく左右する。為替変動に大騒ぎするのは、輸出産業への影響を心配してのこと。当然、貿易収支の黒字こそが最も巨大なものだろうと想像する。ところが、である。実は4つの部門のうち、貿易黒字を上回る黒字を出している部門があるのだ。それが、「所得収支」なのである。

所得収支とは、日本が持つ海外の株や債券、つまり証券資産などが生む配当や利益を示す。要するに投資収益だが、この額が近年大きくなり、貿易黒字に匹敵する規模になっていったのだ。そして貿易黒字額の縮小もあって投資による黒字がとうとう逆転。2007年度の数字でも、貿易黒字が前年度比11.7%増の11兆7099億円に対し、所得収支は前年度比17.6%増の16兆7628億円。実に1.5倍規模なのだ。

所得収支が貿易黒字を逆転したのは05年度。以後、差は拡大。日本は今や、投資で稼ぐ国なのである。折しも原油高で輸入額がふくらみ、3月のデータでは貿易収支の黒字幅が前年同月比29%も縮小。08年は、さらに開きが出そう、である。


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