いつの間にか攻めに?

日本企業の対海外企業M&A額が過去最高に

2008.09.04 THU



写真提供/時事通信
ここ数年、世界中で吹き荒れていたM&A旋風。背景には、世界的な低金利が続くなか、高い運用利回りを求める世界の巨額のマネーの大型ファンド流入があった。これが世界中でM&A、企業の合併や買収の増加を演出していた。実際、欧米に比べれば動きが鈍かったとされる日本企業が関わるM&A、日本企業が買収されたり、日本企業が海外企業を買収したり、といった動きも急増していた。ところが、異変が生じ始めている。

トムソン・ロイターの調査によれば、08年上半期の日本企業が関わるM&Aは、取引金額ベースで前年同期比21.9%減の641億ドル(約6.8兆円)、案件数ベースでも6.6%減の1447件と大幅に減少した。日本企業を対象とするM&Aに限っては、前年同期比で44.2%減、案件数ベースでも5.9%減となった。これはサブプライムローンに端を発した信用不安で、巨額のマネーの動きが滞ってきたためだ。

しかし一方で、興味深いデータが。日本企業の海外企業に対するM&Aは、案件ベースでは160件と4.8%減だったものの、取引額は、前年同期比2.7倍の241.5億ドル(約2.6兆円)で過去最高になったのだ。

業種別で見てみると、取引額トップは医薬品業界。武田薬品工業によるアメリカ企業の買収(約8800億円)、さらには第一三共製薬によるインド企業買収(約4000億円)など。ほかにも、食品、ハイテク、情報・通信などで金額・件数ともに増加。全体件数は減少しているものの、業種ごとにみると増加している業種も多数ある。背景は、海外市場の高成長。低成長の日本では事業拡大は見込めないと、有望市場に進出する足がかり買収なのだ。M&Aといえば守勢に立たされた印象の強かった日本企業だが、いつの間にか攻めに転じていたわけだ。

下半期に入った7月には、東京海上日動火災がアメリカの損保会社を約5000億円で買収するなど早くも大型案件が。海外企業へのM&A、要注目である。


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