米国の金融危機で再来する!?

「世界恐慌」という怪物はかつて何をもたらしたの?

2008.11.06 THU



写真提供/APImages
米国発の金融危機が世界中に広がり、「世界恐慌」が再来するんじゃないかといろんなところで指摘されている。今年のノーベル経済学賞を受賞した米プリンストン大学のクルーグマン教授が「今回の金融危機は世界恐慌に似ている」と言えば、麻生首相も「1929年の世界恐慌に匹敵する」と答弁したりと。

そもそも「恐慌」とはどんな状態をさすのか。『世界大恐慌 1929年に何がおこったか』の著者で帝京平成大学教授の秋元英一さんは、こんなふうに説明している。

「ある日突然、株価が暴落して、実体経済に悪影響を及ぼしていくことです。物価が下がり、倒産が起きて、失業者が増える。しかし、通常の不況ならば物が安くなることで購買力が戻り、景気は数年で回復するが、世界恐慌のときは物価が下がっても物が売れず、倒産が倒産を呼び、街中に失業者があふれた」(毎日新聞08年10月28日付)

世界恐慌の発端となったのは、いまから79年前の1929年10月24日、ニューヨーク株式市場を突然おそった大暴落。フレデリック・アレンの名著『オンリー・イエスタデイ』によると、それは「下落、下落、下落の一途をたどった」といい、預金を取り戻そうとする人たちが銀行に殺到して大混乱となり、銀行が次々に破たん、米国の銀行は半分に減ってしまった。企業の倒産も相次ぎ、3年後には米国で働く人の4分の1が失業。その影響は世界中に広がっていき、すでに金融恐慌が始まっていた日本でも「昭和恐慌」が起きて大不況となり、企業は連鎖倒産、失業率は20%を超え、欠食児童が急増するほどの危機的状況に陥ったのだ。

今回の金融危機が世界恐慌と重なるのは、バブル崩壊がきっかけという点でもその状況が似ているからだ。当時も「株と住宅は上がり続ける」と過剰な投資を膨らませた金融機関が巨額の損失を抱え、それで信用不安が起きたといわれる。世界恐慌は結果的に第二次世界大戦を招く一因ともなった。そんなことにならないように、まずは金融危機を止めてほしいのだが――。


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